日経メディカルのロゴ画像

米国糖尿病学会(ADA)2008
血糖厳格管理で大血管リスクは有意減少せず、ADVANCE
脂質や血圧を含めた総合的な管理が重要に

ADVANCEのディレクターを務めたシドニー大のAnushka A.Patel氏

 今回の米国糖尿病学会(ADA、米国サンフランシスコ、6月6~10日)で最も注目を集めたのが、厳格な血糖管理が心血管イベントの抑制につながるかを検証したADVANCE試験といえるだろう。「同様なコンセプトで行われた3つの試験が今回発表されるが、私たちの試験の最終結果を一番最初に報告できることはとても名誉なことだ」――。ADVANCE試験のディレクターである、オーストラリア・シドニー大付属ロイヤルプリンスアルフレッド病院のAnushka A.Patel氏は、学会初日の記者会見でこう話し始めた。

 ADVANCE試験は、心血管疾患の既往があるか、そのリスクが高い2型糖尿病患者1万1140人(平均年齢66歳)の参加により行われた。HbA1c値6.5%以下を目標とした強化療法群に5571人が、各国のガイドラインに従うとして特に目標を定めなかった標準療法群に5569人が無作為割付された。20カ国に上る患者の内訳は欧州46%、アジア37%、オーストラリアとニュージーランド13%、北米4%だった。

 5年間追跡できた強化療法群4828人、標準療法群4741人が解析対象となった。結果はNEJM誌に掲載され日経メディカル オンラインでも紹介済みだが(2008.6.9「ADVANCE試験では心血管死亡の増加は見られず」)、対象者の平均HbA1c値は強化療法群6.5%に対し標準療法群7.3%と、強化療法による有意な改善がみられた(p>0.001)。HbA1c値の目標達成率は強化療法群が64.9%に上ったのに対し、標準療法群では28.8%にとどまった。

大血管イベントリスクは有意減少せず
 すべての血管系イベントリスクは、強化療法により10%減少した(95%CI:2~18%、p=0.013で有意差あり)。ただし、腎症や網膜症といった細小血管症と心筋梗塞や脳卒中などの大血管症に分けると、細小血管イベントリスクは14%(同:3~23%、p=0.014)の有意な減少をみたが、大血管イベントリスクの減少は6%(同:-6~16%、p=0.32)にとどまり、有意差はつかなかった。腎障害が11%(同:5~17%、p<0.001)減少したことが、細小血管イベントリスクの有意な減少に大きく寄与したと考えられた。

この記事を読んでいる人におすすめ