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日本人のメタボリックシンドローム、腹囲は何センチ以上?
女性の至適カットオフ値は90cmより細め

 日本のメタボリックシンドロームの診断基準は、2005年に8学会合同の検討委員会(委員長:松澤佑次氏)がまとめた(日本内科学会雑誌2005; 94: 794-809.)。メタボリックシンドロームでは内臓脂肪の蓄積が主要な役割を担うとして、その指標としてウエスト周囲径腹囲)を用い、カットオフ値を男性85cm、女性90cmとした。08年4月に始まった特定健康診査・特定保健指導(通称メタボ健診)でも、この値が採用されている

 ただ、このカットオフ値は、まだ決定的なものとはいえないようだ。今年3月の第72回日本循環器学会総会・学術集会では、Controversyセッションとして「メタボリックシンドロームの診断基準はこのままでよいか?」というタイトルで討論が行われたし、4月の第105回日本内科学会総会・講演会でも、診断基準についてはさまざまな議論があるとした上で、「今後、新たな疫学研究および臨床研究を踏まえて科学的検討を行うこととする」という内容のステートメントを発表している。

 実際、診断基準が発表された後も、腹囲のカットオフ値に関して、複数の研究成果が発表されている。これらの研究はいずれも、解析手法としてROC(receiver operating characteristic; 受診者動作特性)解析を用いたものだ。ROC曲線は、検査値が連続した値をとる場合に、様々なカットオフ値で感度と特異度を計算し、縦軸を感度、横軸を(1-特異度)として順にプロットし、線でつないだものだ。感度と特異度が共になるべく高くなるように、至適カットオフ値を決める。検査の基準値を求めるには一般的な手法といえる。これまでに行われた主な研究と、その結論をまとめてみた。

代表的な5本の論文を読み解くと…
■論文1:結論→男性82cm、女性73cm。
 島根県出雲市の製造業で定期健康診断を受けた計361人(男性121人、女性240人)が対象。年齢は30~60歳(ちなみに同論文では、日本人と共に、モンゴル人252人も検討している)。参加者の腹囲を測定し、(1)高血圧(130/85mmHg以上)、(2)低HDL-C(男性40mg/dL未満、女性50mg/dL未満)、(3)高中性脂肪(150mg/dL以上)、(4)高血糖(110mg/dL以上)、(5)高HOMA-IR(2.0以上)――のそれぞれを検出するための、腹囲の至適カットオフ値を、男女別に求めた。
 それによると、男性の場合、血圧82.1cm、HDL-C 81.3cm、中性脂肪81.8cm、血糖 82.9cm、HOMA-IR79.5cm。一方、女性の場合、血圧72.6cm、HDL-C 71.3cm、中性脂肪 73.5cm、血糖72.2cm、HOMA-IR72.8cmだった。これらの結果を総合した結果、メタボリックシンドロームを予測するための腹囲を、男性82cm、女性73cmと推定した。論文は、Shiwaku K, et al. Diabetes Res Clin Pract 2005; 69: 52-62.。

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