命をかけて応援するような熱烈なアメリカンフットボールファンは、地元チームが絶対に落とせない試合に負けると、まさに生命を捧げるか、少なくともそれに近い状況になるリスクが高くなるようだ。
ロサンゼルス郡の研究者は、1980年の第14回スーパーボウル後の2週間、総死亡と心血管死亡の急激な上昇があったことを見出した。フットボールファンなら、地元チームのRamsがPittsburgh Steelersに31対19の大接戦で負けた試合を覚えているだろう。
米ロサンゼルス・Heart Institute of Good Samaritan病院のRobert Kloner氏によると、その4年後にL.A. RaidersがWashington Redskinsを38対9で完璧に打ち負かした第18回スーパーボウルのときは、翌週の同郡の総死亡と心血管死亡はわずかに減少したという。Kloner氏は、この知見を米国心臓学会で発表した。
欧州の大きなスポーツイベント、特にサッカーの試合は、心血管イベントの増加と関連することが明らかになっている。
しかし、スーパーボウルなど米国で注目度が高いスポーツイベントの影響については、ほとんど知られていなかった。
そこでKloner氏らは、ロサンゼルス郡で地元チームがプレーした2回のスーパーボウルについて、その前後の期間の死亡診断書を調べ、この現象について検証した。
80年にRamsが負けた後の2週間、総死亡は17%増加した(P<0.0001)。循環器疾患(P<0.0001)、虚血性心疾患(P<0.0001)、急性心筋梗塞(P=0.0213)による死亡も、同様に跳ね上がった。
84年にRaidersが勝った後の2週間は、総死亡は6%の有意な減少があり(P=0.0302)、循環器疾患による死亡は有意ではないが減少傾向にあった。
ロサンゼルスにプロフットボールチームがなかった2000~04年では、スーパーボウル前後の週で、小さいが有意な総死亡の減少が見られた(P=0.0453)。
勝敗に伴う死亡率の差は、ファンの感情的興奮度で説明がつくのではないかとKloner氏は述べた。
80年の敗戦は興奮度が高かったと同氏は語った。この試合はシーソーゲームで、7回もの逆転劇がみられた。Ramsは長年ロサンゼルスに拠点を置いていたが、このゲームは近隣のパサデナで行われた。Ramsは不利と見られており、第4クォーターをリードで迎えたものの、最終的には負けた。
一方、84年の勝利は、比較的新参チームだったRaidersとの試合だったため興奮度が低かった。また、試合の流れは一方的で、州外で行われていた。見かけ上の保護的な作用は、試合観戦中は身体的活動が少ないことも一因であると考えられた。
80年代の心血管疾患の治療は今とは異なっており、当時はスタチンもなかったが、欧州人を対象とした比較的最近の研究でも同様な知見が得られていることから、この結果は今日でも当てはまるはずだとKloner氏は指摘した。
ロサンゼルスでのデータから恒常的な結論を導くことはできなかったが、試合を避けたりあらかじめ治療を受けたりするといった対策が可能になることから、心血管イベントの引き金が特定できたことの重要性を同氏は強調した。
Kloner氏は、このような傾向がある人はリラックス法や深呼吸法を練習したり、強い望みをコントロールする薬物治療について医師に相談してほしいと語った。
彼はまた、フットボールファンやその他の心疾患のリスクがある人は、禁煙、減量して活動性を高めるとともに、高血圧、コレステロール、糖尿病の対策を取ることも強く推奨した。
MedPage Today特約
ACC2009
スーパーボウル直後の心臓死は地元チームの勝敗と関連
ACC: Super Bowl Heart Deaths Follow Home Team Fortunes
2009/04/20
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