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Society of Interventional Radiology 2009
薬剤溶出ステント:下肢虚血における玉虫色の結論
SIR: Drug-Eluting Stents: Mixed Results in Limb Ischemia

2009/03/31

 薬剤溶出ステントDES)は、高度な下肢虚血の治療において血管の長期開存性を改善したが、全体的にみた患者の転帰では、ベアメタルステントBMS)と比較した長期の優越性は見られなかった――。米国サンディエゴで開催されたSociety of Interventional Radiology(SIR)2009で、ギリシャ・Patras大学病院のDimitris Karnabatidis氏らのグループが明らかにした。

 ステント留置から3年後、シロリムス溶出Cypherステントで治療した血管は、4.8倍多く開存が維持されており、再血行再建術が必要だったケースも2.5分の1にとどまった。ただし、プロスペクティブに行われた本試験の短期間の成績では、生存率はより良好で下肢切断もより少なかったが、フォローアップ3年後では差がなくなっていた。

 膝窩動脈下動脈群の閉塞治療の主流はいまだ外科的バイパス術だが、糖尿病、虚血性腎疾患、冠動脈疾患などの複数の合併症のため、高度な下肢虚血患者の最大半数までもが、手術適用から除外されてしまう。

 バルンによる血管形成術はこうした患者の第1選択となる治療だが、「この血管内治療の時代になっても、再狭窄がいまだに“アキレス腱”となっている」とKarnabatidis氏は語る。バルンによる血管形成に失敗した場合、ステントが下肢喪失に対する次の防御ラインとなる。

 膝より下の血管において、BMSとバルンによる血管形成は有効性の点でほぼ同等であることが立証されているものの、再閉塞や再血行再建術実施率は高止まりしている。そこで、DESによってこの状況が改善されるか、Karnabatidis氏らは単一施設での転帰をプロスぺクティブに追跡した。

 本レジストリでは、重篤な下肢虚血の患者103例・122肢を対象に、最初に膝窩動脈下動脈群に対して血管形成による血行再建を行い、失敗した場合はステント留置を実施した。

 この非ランダム化試験では、シロリムス溶出ステントを留置された患者の方がBMSを留置された患者よりもやや多かった(62例対41例)。ただ、シロリムス溶出ステント群では患者あたりのステント本数がかなり多かったため、シロリムス溶出ステントが2倍以上多く使用された(239対109)。

 フォローアップ6カ月および12カ月の時点では、全体の患者の生存率および下肢救済率はシロリムス溶出ステントの方が良好だった。

 しかし、その後の長期評価では、曲線は収束したことが明らかになった。患者の生存率について、シロリムス溶出ステントのBMSに対する優越性はなく、36カ月後では両群とも約70%だった(P=0.205)。

 下肢切断率も同様であり、36カ月後で約20%だった(下肢救済率についてP=0.507)。Karnabatidis氏によれば、この成績は血行再建を試みた場合の切断率が最高25%程度とする他の研究と同等だったという。

 だが血管造影で評価した両群の開存曲線は、6~12カ月の間に劇的に乖離、その後はほぼ並行に推移し、36カ月後でもハザード比はまだ4.8倍を維持していた(P<0.001)。

 重要なことは、36カ月時点での臨床的な症状再発による再血行再建術実施率が、シロリムス溶出ステント群ではBMS群の40%に過ぎなかったということである(P=0.006)。50%を超えるステント内再狭窄率も、DESの方が有意に低かった(ハザード比:0.38、P<0.001)。

 米シカゴにあるNorthwestern Memorial病院のRobert Vogelzang氏は、本結果を紹介した記者会見を司会した際、これらの3年間の成績を有望と評価した。

 「何度も血管造影を行うことは最良の治療とはいえない。ステントを使用しなければならない場合、われわれの長期成績が示すように、DESの方がBMSよりも良いはずだ」とKarnabatidis氏は結論づけている。

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