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β遮断薬が乳児の血管腫を退縮させる
Beta-blocker zaps infant hemangiomas

2009/03/27

 発売から既に50年が経過したβ遮断薬プロプラノロールだが、血管腫という思いもよらない疾患に効果を期待できることが分かった。血管腫は新生児の最大10%に生じ、ときに容姿を損なう疾患である。

 このニュースは世界中の小児皮膚科医を活気づけており、今では多くの医師が小さな患者にプロプラノロール投与を試みている。彼らによると、目覚ましい効果が得られているという。その一方で、正式な臨床試験の報告を待ってから治療を始めるとする、より慎重に考える医師もいる。

 このプロプラノロールの使用法が初めて報告されたのは、2008年6月12日号のNew England Journal of Medicineに掲載されたフランス人医師の投稿だった。

 ボルドー小児病院のChristine Leaute-Labreze氏らは、心筋症の乳児と、心拍出量が増加しているもう1人の乳児の治療に本剤を用いたが、両者ともに血管腫があった。すると思いがけなく、患児の病変が消失し始めた。

 その後Leaute-Labreze氏らは、血管腫がある他の小児9例に同薬剤を試み、全例で同じように治療に成功した。

 このニュースから米ジョンス・ホプキンスの研究者は、血管腫の第1選択薬としてβ遮断薬を使用するプロトコールを作成すべきと確信した。同病院小児センター小児皮膚科ディレクターのBernard A. Cohen氏によれば、こう意気込むのももっともな理由があったという。

 今日、血管腫の治療で最も多く行われているのは、プレドニゾンなどのステロイドを使用するものであるが、これは血糖上昇、水分貯留、骨減少、胃炎、感染に対する抵抗力の低下、成長遅滞といった副作用のリスクがある。そのため「われわれは、それが絶対に必要な場合以外は使いたくない」とCohen氏。

 他方、プロプラノロールの副作用は低血圧や低血糖などで、一般に少なく、持続期間も短い。

 Cohen氏は、「安全性のプロフィールはステロイドよりもはるかに良い」と語る。

 これまでに、ジョンス・ホプキンスのCohen氏とKatherine Puttgen氏は、プロプラノロールで20例治療したと語っている。両氏は循環器専門医と協力し、低血圧や低血糖などの副作用を監視するため投与開始後2日間は入院させて治療している(しかし、これまでのところ副作用例はまだみられていない)。

 プロプラノロールの投与量は1日目が1mg/kg/日(分3)、その後は2mg/kg/日(分3)である。

 「ときには1回投与しただけで血管腫の色が暗くなり、平坦になることがある。通常24時間以内には、実際に改善を見ることができる」とCohen氏は手応えを語る。

 

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