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ISC(ASA)2009
TIA後の脳卒中は、女性の方が起こしにくい
ASA: Women Less Likely to Have Stroke in the Wake of TIA

2009/03/17

 一過性脳虚血性発作TIA)の予後は、女性の方がいいのかもしれない。米エール大のJudith H. Lichtman氏は12万2000例以上のTIA症例を解析、TIAによる入院から1年後までの、脳卒中、冠動脈疾患、死亡の発生には性差があり、同年齢では女性の方が少なかったとInternational Stroke Conference(主催:米国脳卒中協会[ASA])で発表した。学会発表と同時に、論文もStroke誌オンライン版に掲載された。

 退院後30日間の全原因による再入院率は男女で差はなく、30日間のTIAによる再入院率も同様に差はなかった。しかし、30日間の脳卒中による再入院率は、女性の1.3%に対し男性は1.8%(P<0.0001)、30日間の冠動脈疾患による入院率も女性0.5%に対し男性0.7%だった(P<0.0001)。

 女性は1年後までの脳卒中発生率も5.9%対6.9%と有意に低く、冠動脈疾患による入院率も4.5%対5.8%と有意に低かった(両者ともP<0.0001)。

 死亡率は30日および1年とも、女性の方が男性よりも有意に低く、30日が1.4%対1.8%(P<0.0001)、1年が12.9%対14.7%(P<0.0001)だった。

 しかし、1年後までの全原因による再入院率は女性の方がわずかに高かった(女性48.8%、男性47.6%、P=0.0002)。また1年後までのTIAによる再入院率も、女性の方が有意に高かった(5.3%対4.9%、P<0.0001)。

 その他の危険因子を調整後、女性は脳卒中を発症するリスクが30%低く、心血管イベントのリスクが14%低く、TIA入院後30日以内の死亡のリスクは26%低かった。

 このコホートは、2002年1月1日~2002年12月31日にTIAのために入院したメディケア患者を含んでいた。患者の平均年齢は79歳で62%が女性、86%が白人だった。

 TIAのために入院した男性は女性よりも若かったが、男性の方が心血管疾患の既往を持つ者が多かったことから、転帰の差はこれで説明できるだろう。男性のTIAイベントの多くは大血管の動脈硬化が原因とみられ、それが脳卒中のリスクも高めたと考えられる。

 他の可能性としてLichtman氏は、女性の方が男性よりも早めに医療機関を受診し、診断後は二次予防の指示に男性よりも忠実に従う傾向があることを指摘する。

 さらに、女性では実際にはTIAを発症していなかった例があることも考えられるという。論文には、「女性は(男性より)片頭痛などの症状のために入院することが多く、これがTIAに誤分類されている可能性がある」と書かれている。

 30日間の脳卒中の発症リスクは1.5%と、他の研究で報告されている数字よりも低かったが、30日間の死亡率は他の研究とほぼ同等だった。脳卒中の発症リスクが低かった理由は、本研究の主たる対象者となったメディケア女性の特性が反映されたためなのかもしれない。

 その結果として本研究は、「地域での真のリスクを過小評価している可能性があるが、一方でメディケアは出来高払い制度であるため、TIAによる入院後に利用された病院の資源が正確に反映されているはず」と、同氏は書いている。

 本試験では合併症の評価は管理コードに依存するという制約もある。さらにメディケアのデータには、薬剤の使用に関する情報は含まれていなかった。

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