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SYNTAX試験の議論再燃
Trial Findings Renew Debate About CABG or Stenting

2009/03/09

 心臓外科医とインターベンションを行う循環器内科医の間で、SYNTAX試験の解釈についての議論が再燃している。

 この試験は最初に昨年秋のミュンヘンで行われた欧州心臓学会ESC)で報告され、論文も今年になりN Engl J Med誌に掲載された。複雑病変に対する経皮的冠動脈形成術PCI)と冠動脈バイパス術CABG)との比較において、心臓外科医、インターベンション医どちらも、試験の部分的勝利を主張していた。

 外科医の根拠はこうだ。「複合主要エンドポイントである1年後の死亡、心筋梗塞、脳卒中、再血行再建は、CABG群の方がTaxus Expressパクリタキセル溶出ステントを用いたPCI群よりも有意に発生が少なかった(12.4%対17.8%、P=0.002)。この差は、(PCI群のCABG群に対する)非劣性の閾値に達していなかったことから、冠動脈3枝病変または左冠動脈主幹部LMT)病変を有する患者においては、手術の方が優れていることが立証された。」

 一方、インターベンション医は、主要エンドポイントの差は再血行再建の施行率が高かった(13.5%対5.9%、P<0.001)ことで説明がつくが、これはPCIではあたりまえのことで、CABG群で脳卒中が4倍近く多かったことが問題だ(2.2%対0.6%、P=0.003)と指摘する。

 全死亡、ならびに全死亡、脳卒中、心筋梗塞の複合エンドポイントの発生は、2群間で同様だった。

 論文では、現行のガイドラインどおり、CABGは依然として複雑病変の標準治療であると結論付けたが、研究グループの中でも全員が一致していたわけではなかった。

 論文の共著者の1人で、Society for Cardiovascular Angiography and Interventions(SCAI)の会長を務めたこともあるインターベンション医のTed Feldman氏は、「あなたが心臓専門医なら、ステントの勝ちと言うでしょう。というのも、過去の試験よりも複雑な病変の症例が対象だったにもかかわらず、再血行再建の差はこれまでで最も小さくなっていたのですから」と語る。

 さらに、「インターベンション医は、CABG群で脳卒中が多いこととインターベンション群で再血行再建の多いことが相殺できることとは考えません。ほとんどの患者は、脳卒中の発症やCABG実施と比べれば、PCIの再施行はさほど厄介ではないと考えるでしょう。」

 「手術の果たす役割がなくなったとは言わない」が、複雑病変の患者の半数では「いまやPCIが現実的な選択肢となっている」とFeldman氏は強調する。

 米国心臓協会(AHA)会長で心臓外科医のTimothy Gardner氏はESCで、PCIが主要エンドポイントを満たすことができなかったことを考慮すると、CABGは3枝またはLMT病変の標準治療であり続けるべきであると語った。

 さらにGardner氏は、「グラフトは10年以上もつことが分かっており、耐久性はCABGの長所である」ため、より長期のデータを見てみたいとも付け加えた。

 少なくとも1人のインターベンション医が、このような患者の標準治療はCABGであることに同意している。

 同様にSCAIの会長を歴任したSpencer King III氏はESCで、これらの患者の約80%は、費用と時間的理由のため、依然として手術を受けることになるだろうと語っている。

 彼は、PCI群では平均4.6本のステントが使われ、平均ステント長は86.1 mmに及んだことを指摘する。このような病変の治療は時間もかかり、「時間のかかる治療をよしとする医師はほとんどおらず、病院も多くのコストをステント治療にかけることは気乗りしないだろう」と語っている。

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