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Society of Thoracic Surgeons(STS)2009
オフポンプCABGに優位性認められず
STS: Study Finds No Stroke or Mortality Benefit with Off-Pump CABG

2009/02/17

 4万8669例のオンポンプCABG冠動脈バイパス術)手術症例と1万4392例のオフポンプ手術症例の予後を解析した結果、死亡率および脳卒中発症率は同程度であることが明らかとなった。一方、オフポンプ手術例の方が入院期間が長いと報告された。

 これは、米Michael E. DeBakey VA Medical CenterおよびBaylor College of MedicineのDanny Chu氏が、STS2009で発表したもの。

 Chu氏らは、2004年のNationwide Inpatient Sampleの退院記録を基に、使用したグラフト数、グラフト開存率、および不完全血行再建などの多くの変数について解析した。患者年齢はオンポンプ群66.1歳に対してオフポンプ群65.1歳とオンポンプ群が有意に高かった(P<0.0001)。オンポンプ群の25%が救命救急室に入院したのに対し、オフポンプ群は29.3%だった。

 その結果、入院期間は、オフポンプ手術例10.2日に対し、オンポンプ手術例9.9日(P<0.0001)で、入院費もオフポンプ手術例が約1497ドル高かった(P=0.0005)。院内死亡率は、オンポンプ手術例が3.0%であったのに対し、オフポンプ手術例は3.2%(P=0.14)、術後脳卒中は、onポンプ手術例が1.8%であったのに対してオフポンプ手術例は1.7%だった(P=0.53)。

 これらの結果から、Chu氏は、「オフポンプCABGをルーチンで行うことは妥当ではない」とした。

 症例の重症度は、4点スケールのDeyo comorbidity indexを用いて評価したが、これはChu氏によると、併存症や合併症を評価するためのスコアであるCharlson併存疾患指数を改変したものだという。Deyoスケールには17の併存疾患と600を超えるICD-9コード(修正死因統計分類)が含まれている。

 Chu氏の論文のディスカッサントである米エモリー大のJohn Puskas氏は、Nationwide Inpatient Sampleに基づいて解析を行うと、誤った結論に至る可能性があると指摘した。例えば、5例の新生児入院がバイパス手術にコードされており、明らかな記録ミスがあると語っている。そして、信頼のおけるデータソースはSTS National Cardiac DatabaseであるとPuskas氏は語っているが、これは同氏が2007年に類似の解析を実施した際に用いたものだ。

 Puskas氏の解析では、オフポンプ術は男性にも女性にも有益であり、院内死亡率も術後脳卒中も減少することが示されている。この解析は、連続した4万2477例を対象にしたもので、32の臨床的危険因子について調整している。

 これに対しChu氏は、Nationwide Inpatient Sampleデータベースの記録ミスについては認めたが、新生児が含まれているなどのミスは、両データベースに等しく広がっているため、「これらが最終結果に影響を及ぼすことはない」と語った。

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