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Society of Thoracic Surgeons(STS)2009
僧帽弁形成術では若年患者で再手術リスクが高い
STS: Youth a Risk Factor for Poor Outcome in Mitral Valve Repair Surgery

2009/02/12

 僧帽弁形成術を受けた患者2400例を対象とした観察研究の結果、形成術の安全性は高く、再手術が必要な割合は低いことが示されたが、若年患者では再手術や僧帽弁逆流再発のリスクが高いことが明らかとなった。米クリーブランドクリニックのDouglas R. Johnston氏が米国胸部外科学会(STS2009)で報告した。

 この観察研究の対象者の平均年齢は57歳で若年患者は少なかったが、心エコー検査など綿密なモニタリングが必要であることが示されたとJohnston氏は語る。また、僧帽弁逸脱は若年患者においては、高齢患者とは異なる、より悪性の変性性弁疾患の一種である可能性もあると指摘している。

 この研究の対象者は2451例で、長期生存と心機能を評価した。対象者の96%が手術を受け、2254例が標準的な矩形切除と弁輪形成術を受けていた。平均追跡期間は5.4年で、合計1万2072患者・年のデータが解析可能だった。また、1702例のサブセットにおいて、僧帽弁逆流再発について計2946の心エコー図も解析した。

 これらの解析から、「形成術は概して安全であり、過去23年間で、院内死亡は2例しかなかった」と同氏は語る。95%の患者で10年間再手術の必要がなく、75%の患者が逆流なしあるいは軽度(1+)逆流にとどまったことから、形成術には耐久性があることも示された。再手術のリスクは、形成術直後が最も高く、その後、年間0.3%の割合で減少していた。

 さらに、この形成術を施行したのは19人の外科医だったことから、「これは単に1人の外科医に関する現象ではなく、この形成術は指導可能で、再現可能な処置であることを物語っている」と同氏は指摘している。

 本研究の対象者にはさまざまな弁輪形成術用リングが使用されたが、人工弁輪が予後がよいことは示されなかった。しかし、人工弁輪を用いずに弁輪形成術を施行した場合、僧帽弁逆流再発リスクの上昇がみられており、「これは経皮的手技の工場と関連している」と語った。形成術の必要や逆流の再発に関連するその他の要因は、心リモデリング、および弁尖と弁輪の両方への対処の失敗だった。同氏は、「経皮的弁形成は、他の心臓手術と同様に高い技術水準と長期フォローアップが必要な治療である」とした。

 この論文のディスカッサントを務めた米ペンシルバニア大のMichael A. Acker氏は、「この結果は正常な心機能を有する無症候性の患者であっても、孤立性後尖逸脱の修復術を必ず考慮すべきという説を支持している」と語った。外科医でもあるAcker氏は、今回の結果から、経皮的手技は従来の手術と比べても比較的同等な予後が得られることが期待できると語った。

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