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JUPITERの結果を適用するとスタチン推奨者は20%増加に
JUPITER Findings Could Boost Statin Use by 20%

2009/02/03

 JUPITER試験の結果を受けて、スタチンの処方が推奨される対象者数を推計した結果、従来より20ポイント増加する可能性が示唆された。これにより、既に処方されている患者を含め、高齢米国人のスタチン処方推奨者は80%に上ることになる。

 米エール大Robert Wood Johnson Clinical Scholars ProgramのErica S. Spatz氏らは、国民健康栄養調査NHANES)で収集したデータを対象に、“コレステロール値は正常で心血管疾患の既往歴はないが高感度C反応性蛋白hs-CRP)が上昇している”というJUPITER試験の基準に従ってスタチン投与が推奨される対象者数を算出した。現時点で高齢米国人の約60%がスタチンを服用しているが、解析の結果、さらに20ポイント増加し約80%になることを、Circulation Cardiovascular Quality and Outcomes誌で報告した。

 NHANESの1999~2004年のデータを現在のガイドライン(National Cholesterol Education Program / Adult Treatment Panel III [NCEP/ATPIII])にあてはめると、50歳以上の男性および60歳以上の女性の計57.9%がスタチンの対象者となる。

 同ガイドラインでは、心血管疾患既往歴のある患者、LDLが中等度リスクを有する患者で130mg/dL以上、または高リスクを有する患者では100mg/dL、糖尿病、もしくは10年間の間に心筋梗塞の確率が10%以上となる複合した危険因子を有する患者にスタチンを推奨している。

 これに対しJUPITER試験では、LDLが130mg/dL未満で、心血管疾患の既往歴がなく、hs-CRP値が2mg/L以上の成人にスタチンを投与した。このJUPITER基準をNHANESの集団にあてはめると、新たに13.9%がスタチン療法適格例となり、LDL値を130mg/dL以上と拡大したJUPITER基準(hs-CRP上昇かつLDLが130~160 mg/dL)を用いると、さらに5.3%がスタチン療法適格となるので、適格例が正味19.2ポイント増えることになる。

 JUPITER試験は、「LDLコレステロールは目標を達成しているが、hs-CRP値が上昇している患者において、スタチン療法が心血管リスクを低下させることを立証したプロスペクティブ試験」としては初めてのものであり、これはスタチン適応症例を拡大する根拠になるとSpatz氏は指摘している。
 
 しかしSpatz氏らは、今回の試算においてNHANESデータ自体(5798万人の米国人から男女6544人を抽出)をはじめとして、いくつかの制約があると注意を促している。同氏の検討は、空腹時の血液試料がある2322人を対象にしたものだ。

 「一時点の検査値、自己申告のデータ、および不完全または不正確な危険因子の評価に依存していたことを考慮すると、我々のリスクの層別化には、ある程度の誤分類があった可能性がある」と、研究者らは指摘している。

 一例として、この調査では、冠動脈疾患による早死を定義する際、男性血縁者55歳、女性血縁者65歳のカットオフ値を用いていたため、家族歴の危険因子は過小評価されていたかもしれない。

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