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AHA、オメガ6脂肪酸の1日摂取量を勧告
Heart Association Recommends Daily Intake of Omega-6 Fatty Acids

2009/02/02

 米国心臓協会AHA)は1月26日、1日の摂取カロリーの最低5~10%をオメガ6脂肪酸から取るべきであるとする勧告を、Circulation誌オンライン版に発表した(雑誌掲載は2月17日号の予定)。

 「ランダム化試験、症例対照研究やコホート研究、長期動物実験などによるデータを総合すると、エネルギーの少なくとも5~10%をオメガ6脂肪酸から摂取することにより、摂取量が少ない場合と比較して、冠動脈疾患のリスクが減少することが明らかとなった」と、本勧告の第1著者である米サウスダコタ大のWilliam S. Harris氏は語る。

 既にオメガ6脂肪酸摂取の推奨量を設定した組織も多い。欧州委員会は4~8%、世界保健機関(WHO)は5~8%で、北米の栄養士会の中には3~10%と提示しているところもあるが、AHAとしては初めての勧告となる。

 オメガ6脂肪酸は炎症を促進するため、実際は心血管のリスクを上昇させる可能性があると結論した研究もある。この懸念は、食品中の主なオメガ6脂肪酸はリノール酸であり、これは炎症の初期段階に関与するアラキドン酸に代謝され得るという事実に由来している。

 そこでオメガ6脂肪酸の摂取に関して、ランダム化比較対照試験だけでなく、観察研究やコホート研究、症例対照研究などのメタ解析を含めたレビューが行われた。

 その結果、ほとんどの研究でオメガ6脂肪酸は炎症マーカーのレベルを変化させないか、あるいは低下させていたことが判明。2件の研究では、代謝に関連する指標や血小板機能に影響を与えないことが示された。Harris氏は、リノール酸からアラキドン酸への変換は約0.2%に過ぎなかったと指摘している。

 全体的なリスクに関して、1件のメタ分析が数件のランダム化比較対照試験を評価していた。

 これらの試験では二重盲検化ができないことに加え、サンプルサイズが小さい、食事の約50%しか勘案していない、多くはソフトエンドポイントである心電図検査の結果をアウトカムとしている、ランダム化が被験者個人に対してではなく施設に対して行われ、登録が盲検化されておらず被験者の回転率も高い、魚類や肝油の摂食を同時に推奨している――といった研究デザイン上の制約があった。

 にもかかわらず、これらの試験のうちの6試験のメタ分析では、摂取する飽和脂肪酸をオメガ6脂肪酸に置き換えることにより、冠動脈疾患イベントのリスクが24%低下することが示唆された。

 複数の前向きコホート研究のレビューからは、「オメガ6多価不飽和脂肪酸の摂取が冠動脈疾患のリスクに及ぼす利益は全体的にみてあまり大きなものではなく、脳卒中や癌には有意な利益とならなかった」という。

 25の症例対照研究を検討した1件のメタ解析では、リノール酸量は冠動脈疾患のリスクと逆相関していたが、アラキドン酸量とリスクとは関連が見られなかった。

 リノール酸のコレステロール低下作用はヒトを対象とした試験で十分に確立している。被験者1672人、60件の食事試験を検討した1件のメタ分析では、リノール酸はLDLコレステロール値を低下させていた。「リノール酸がコレステロール値に及ぼす好ましい効果は十分に立証されており、冠動脈疾患リスクの有意な減少が予想される」と研究者は語る。

 ヒトはリノール酸を体内で合成することはできず、主にコーン油やヒマワリ油などの植物油から摂取される。

 Harris氏は、米国のオメガ6脂肪酸の1日摂取量は一般に総カロリーの約6%と語っている。つまり2000kcalの食事なら約120kcal(13g)になる。

 摂取量を調べるためには、患者は食品の栄養成分表(Nutrition Facts Panel)に表示されている多価不飽和脂肪を見る必要があるが、これは実質的にすべてオメガ6脂肪酸であると、Harris氏は語っている。

 しかし、食品メーカーは総脂肪を飽和脂肪とトランス脂肪に分けて表示することが義務づけられているだけである。「不飽和脂肪」の表示には一価不飽和脂肪と多価不飽和脂肪の両方が含まれているため、多価不飽和脂肪が表示されていない場合は、オメガ6脂肪酸の量を区別する方法はないと同氏は言う。

 Harris氏は、オメガ6脂肪酸の推奨摂取量は5~10%だが、冠動脈疾患の予防は全体として健康的な食事の上に成り立つものであるとも指摘している。

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