日経メディカルのロゴ画像

肥満患者が病院経営を圧迫する
Morbidly Obese Patients Weigh Heavily on Hospital Finances

2009/01/29

 米医療研究・品質局(AHRQ)が保有する2005 Nationwide Inpatient surveyから、1000以上の市中病院の800万例近い退院記録を解析した結果、入院費の中央値は、非肥満患者1万4147ドルに対し、肥満患者は1万5623ドル、病的肥満患者では2万46ドルと上昇するることが明らかとなった。今後、肥満患者の増加、特に病的肥満患者の割合が上昇することにより、病院の資源や財政を圧迫するようになると研究者らは指摘している。

 これは、米フロリダ国際大学のSunny Kim氏、および米Eli Lilly社のKristina Boye氏が、年齢および糖尿病の状態について調整して解析を行った結果明らかになったもの。Value in Health誌のオンライン版で報告した。

 米国全体の肥満率は過去20年間増加を続けているが、病的肥満者の割合は軽度肥満者の増加率の2倍の速度で上昇している。これは肥満手術件数の増加からも見てとれる。「病的肥満患者は、入院中に多くの医療資源を使うことから、入院患者における病的肥満患者割合の急激な増加は、病院の財政システムの負担となるだろう」と研究者は語る。

 3080万件の入院例全体のうち187万件近くが肥満または病的肥満患者だった。入院の理由の主なものは、非肥満患者ではうっ血性心不全、肥満患者では冠動脈アテローム性硬化症およびその他の心疾患、病的肥満患者は栄養内分泌性障害および代謝性障害であった。さらに、一般の米国人のうち糖尿病患者は約7%に過ぎないが、今回解析の対象とした入院患者の5分の1(20.8%)が糖尿病であった。

 1型および2型糖尿病の患者は、非糖尿病患者と比較して有意に肥満または病的肥満になりやすかった(両者についてP<0.01)。入院例のうち肥満または病的肥満患者である割合は、非糖尿病患者では4.5%、1型糖尿病患者で6.5%、2型糖尿病患者で12.2%だった。入院費の中央値は、全入院患者、1型糖尿病患者、2型糖尿病患者のいずれにおいても病的肥満患者の費用が最も高額であった(すべてについてP<0.01)。

 糖尿病の有無、性別、年齢、人種、入院様式、および入院期間について調整後、非肥満患者と比較した場合、肥満患者および病的肥満患者の入院費はそれぞれ6.1%および18.7%高かった。

 高齢者向け医療保険制度メディケアによる診療報酬支払いは、診断群分類システムによって行われるため、「病的肥満患者数の増加とこれらの患者による医療コストの増加分のために、病院の財政システムへの負担が増加することは避けられないだろう」と、研究者らは語る。

 本試験の限界として、個々の患者が調査期間中に複数回入院した可能性があること、退院記録には患者の身体計測値が含まれていなかったことがあげられる。また、肥満と糖尿病の関連は、肥満患者および病的肥満患者の方が糖尿病に対する意識および診断率が高いため、過大評価されている可能性があると著者らは指摘している。

この記事を読んでいる人におすすめ