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慢性心不全の治療内容は医師・患者それぞれで性差あり
Women Physicians Provide Better CHF Treatment

2009/01/28

 女性医師は慢性心不全患者に対し、ガイドラインに忠実な治療を行う傾向が強く、男性医師よりも良い治療を提供する傾向があると報告された。一方、慢性心不全を有する女性患者は、同じ診断を受けた男性患者よりも推奨されている心不全治療薬を投与される割合が少ないことも明らかになった。ドイツSaarland大学病院のMagnus Baumhakel氏らがEuropean Journal of Heart Failure誌に発表した。

 慢性心不全患者1857例を対象とした観察研究から明らかになったもので、対象は、2006年3月から2006年11月までの期間に、ドイツ東部の施設で治療を受けた患者。男性患者の割合は半数を若干上回り(52.6%)、患者の63.3%は男性医師の治療を受けていた。他の心不全に関する試験と同様、平均年齢は、男性(66.5歳)よりも、女性(70歳)の方がわずかではあるが有意に高かった(P<0.001)。患者の多く(男性の73.7%、女性の71.1%)がNYHAクラスIIだった。

 研究の結果、女性医師の方が患者の性別とは関係なく、薬剤の選択および投与量のガイドライン推奨事項を遵守する傾向を示した。しかし、男性医師は患者が女性の場合、投与する薬剤の種類が少なく、特にβ遮断薬で顕著だった。投与用量も少なかった。

 同研究グループは、「治療においては、女性患者と男性医師の組み合わせが最も悪く、男性患者と女性医師の組み合わせが最も良かったことになる」と述べている。

 女性患者は、薬物療法が不十分であるだけでなく、症状を誤って解釈される傾向もより強かった。その理由の1つとして、「器質性ではなく心因性の症状だろうという医師が診断した可能性がある」という。

 しかし、推奨される心血管薬を投与される割合が低かったことに起因する女性患者の予後の悪化はみられなかった。これは女性の慢性心不全死のリスクが一般的に低いこと、または慢性心不全に関連した入院が少ないことにより説明がつくのではないかと著者らは語っている。

 全患者の約80%がアンジオテンシン変換酵素ACE)阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)を投与され、全患者の3.6%が両方の薬を投与されていた。ACE阻害薬またはARBの使用は、男性患者の方が女性患者よりも有意に多く(P=0.021)、推奨用量も男性の方が高くなる傾向にあった(P=0.058)。
 
 しかし慢性収縮期心不全で推奨されているβ遮断薬は、患者の69.9%でしか使用されていなかった。男性患者は、β遮断薬についても有意に高い用量で投与される傾向にあった(用量についてP=0.021)。

 著者らによると、慢性収縮期心不全の最適な薬物療法には、推奨薬物(ACE阻害薬、ARBおよびβ遮断薬)を使用することとともに、これらの薬剤を高用量で処方しようとする意志も必要だという。それは、投与量が多いほど、より良い治療結果が得られることが臨床試験において示されているからである。今回の試験では、患者の半数しか十分な用量のACE阻害薬を投与されておらず、推奨用量のβ遮断薬を投与されていた患者は4人に1人だった。

 著者らは本試験に多くの制約があることを指摘しており、その一例として治療の評価は慢性収縮期心不全の治療ガイドラインに従っているが、患者の一部では拡張期心不全を有していた可能性があることなどを指摘している。また、「本試験はドイツで実施されたため、結果を他の国や他の医療システムにあてはめることはできない」という。

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