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CEAの術後脳卒中・死亡に関与する11の危険因子特定
Age and Race Play Role in Outcome After Carotid Surgery

2008/11/30

 米マウントサイナイ医大のEthan Halm氏(現テキサス大Southwestern Medical Center)らは、ニューヨーク州で実施された約1万件の頸動脈内膜剥離術CEA)の結果を解析し、年齢(80歳以上)や非白人といった、術後の脳卒中と死亡に関連する合計11の危険因子を特定した。

 多くの患者がCEAの代わりに頸動脈ステント留置術(CAS)を勧められる時代となったが、Halm氏はStroke誌オンライン版に掲載された論文の中で、「この試験から、容易に判別できる臨床上の危険因子が11項目特定できた。これらは内科医、神経内科医、外科医、麻酔科医が、個々の患者のCEAのリスクとベネフィットを検討するのに役立つだろう」と指摘している。

 これまでの臨床試験で、CEAと薬物療法の併用は薬物療法単独の場合よりも、脳卒中や死亡のリスクが低下することが示されている。しかし著者らは、ステント治療の出現により、CEA術後の周術期における死亡や脳卒中の危険因子について経験的に検証されたデータが必要と考えた。

 そこで、1998年1月から99年6月までにCEAを受けた地域住民のメディケア患者、計9308例について、手術後30日以内の死亡と非致死的脳卒中の発生について解析した。

 その結果、死亡または脳卒中の発生率は、脳卒中または一過性虚血性発作(TIA)の既往のない無症候性患者では2.71%、脳卒中またはTIAの既往があるが長期間を経過している無症候性患者では4.06%、頸動脈TIAで手術を受けた患者では5.62%、脳卒中患者では7.89%、crescendo TIA(TIAが頻発していて間隔が短縮している状態)または進行性脳卒中の患者では13.33%であった。

 多変量解析から、以下の11の危険因子が特定された。

●年齢80歳以上(オッズ比[OR]:1.30、95%信頼区間[95%CI]:1.03-1.64、p=0.03)
●黒人またはヒスパニック系(OR:1.83、95%CI:1.23-2.72、p=0.002)
●救急部門への搬送による入院(OR:1.95、95%CI:1.50-2.54、p<0.0001)
●無症候性であるが、脳卒中またはTIAの既往があり、長期間経過している(OR:1.40、95%CI:1.02-0.94、p=0.03)
●手術適応のあるTIA(OR:1.81、95%CI:1.39-2.36、p<0.0001)
●脳卒中の兆候(OR:2.40、95%CI:1.74-3.31、p<0.0001)
●crescendo TIAまたは進行性脳卒中(stroke-in-evolution)の兆候(OR:3.61、95%CI:1.15-11.28、p=0.02)
●対側に50%以上の頸動脈狭窄がある(OR:1.44、95%CI:1.15-1.79、p<0.0008)
●重度の身体障害がある(OR:2.94、95%CI:1.91-4.50、p<0.0001)
●冠動脈疾患がある(OR:1.51、95%CI:1.20-1.91、p<0.0006)
●インスリン依存性糖尿病がある(OR:1.55、95%CI:1.10-2.18、p<0.01)

 「危険因子が1つの場合は必ずしも手術を行わない理由にはならないが、80歳以上で心疾患と糖尿病があるというように複数の危険因子がある場合、内科的治療が好ましいとなるだろう」と、Halm氏は語った。

 この研究は規模が大きく、選択を行っていない地域住民のサンプルであるが、レトロスペクティブ解析であることを考慮する必要がある。一方、このコホートは98~99年にCEAを受けたが、現在までに術式および術前管理は変わっていない。

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