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AHA2008
抗酸化ビタミンの心保護作用、またも認められず
AHA: Antioxidants Fail Again for Cardioprotection

2008/11/29

 もともと低リスク群の男性では、抗酸化ビタミンを長期間服用しても心血管疾患の予防効果はないようだ。ビタミンEは、プラセボと比較して主要心血管イベント(p=0.86)、心筋梗塞(p=0.45)、および心血管死(p=0.43)の発生率に影響を及ぼさなかったと、米Brigham and Women's HospitalのJ. Michael Gaziano氏が発表した。

 この大規模試験はさらにビタミンCについても、主要心血管イベント(p=0.91)、心筋梗塞(p=0.65)、脳卒中(p=0.21)、および心血管死(p=0.86)に効果がないことを示した。これらの知見は発表と同日、JAMA誌オンライン版に掲載された。

 本報告が行われたセッションのprogram chairで、米ジョンスホプキンス大のGordon Tomaselli氏は、「これらの新たなエビデンスにより、主要心血管疾患の予防に関するビタミンEおよびCの議論にピリオドが打たれるだろう」とコメントした。

 しかしTomaselli氏は、「これがすべての仮説を否定するものだとは考えていない。要はバランスの問題である。つまり、どのくらいの量の抗酸化物質を摂取すればよいのか、また実際どれが適切な抗酸化物質なのかという点で、まだ適切なバランスを突き止めていないだけなのかもしれない」ともいう。

 基礎研究から、抗酸化物質はフリーラジカルや活性酸素による組織のダメージを防ぐことによって、心血管疾患を減らすことができると示唆されており、心血管系疾患の予防効果を認めた観察研究もある。

 しかし、本試験のディスカッサントとなった米Medstar Research Institute(メリーランド州ハイアッツビル)のBarbara V. Howard氏は、ランダム化試験から得られたエビデンスは、心血管疾患、癌、その他疾患の予防について大部分が否定的だったと、late breaking clinical trials sessionでコメントしている。

 さらに、Women's Antioxidant Cardiovascular Studyを含むいくつかの試験では、高リスク患者においても、ビタミンA、C、E、B6、およびB12、ならびに葉酸に、主要心血管イベントを減少させる効果がないことを示している(関連記事12)。

 このようなエビデンスがあるにもかかわらず、「ビタミンEや他のサプリメントは、いまだに健康な人たちの間で驚くほど普及しており、こうした人々はそれらの摂取を日常の健康管理の一環と考えている」とGaziano氏のグループは指摘する。

 そこで彼らは、Physician's Health Study IIにおいて、主要心血管イベントのリスクに及ぼすビタミンCとEの効果に注目した。この試験には、過去の多くの試験と比較して、心血管疾患のリスクが低い男性医師1万4641例が参加した(心血管疾患の既往者は5.1%)。

 参加者は2×2デザインによってランダム化に割り付けられた。ビタミンEは400 IUの隔日摂取、ビタミンCは500 mgの毎日摂取とした。

 平均8年の追跡後、ビタミンEは、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中および心血管死の主要複合エンドポイントで、プラセボと比較して利益がないことがわかった(発生率はビタミンE群が10.8、プラセボ群が10.9[いずれも1000人年あたり]、ハザード比[HR]:1.01、p=0.86)。

 ビタミンEの作用として唯一プラセボ群との間に有意差が示された項目は、出血性脳卒中の増加だった(HR:1.74、p=0.04)。Howard氏は、ビタミンEは血小板機能を阻害することから、この結果は信頼でき、かつ重要なリスクであると語っている。

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