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ICAAC-IDSA2008
肺炎と急性冠症候群に関連性
ICAAC-IDSA: Pneumonia Linked to Acute Coronary Syndrome

2008/11/10

 細菌性肺炎で入院した患者は、他の原因で入院した患者と比較して急性冠症候群のリスクが約8倍にも上る──。ヒューストンBaylor College of MedicineのVicente Corrales-Medina氏らが、米感染症学会と合同で開催された抗菌薬および化学療法に関する学術会議(ICAAC:Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy)で発表した。

 さらにこのリスクは、入院後15日以内が最も高いことも明らかとなった。レトロスペクティブな解析から、細菌性肺炎と急性冠症候群の関連性が明らかになり、2つの疾患の間に非常に強い因果関係が示唆された。

 Corrales-Medina氏は、「この結果は、急性感染症がアテローム性動脈硬化性プラークの急性変化の原因になる可能性を示すエビデンスだろう」と指摘した。

 アテローム性動脈硬化性プラークの急激な変化により、呼吸性ストレスのような肺炎の影響と合わせて、不安定狭心症や心筋梗塞などの急性冠症候群に至ることがあるのかもしれない。

 Corrales-Medina氏らは、2000年1月から2006年12月にかけて臨床的、放射線学的および細菌学的に肺炎と診断され、Michael E. DeBakey VA Medical Centerに入院した206例の記録を解析した。原因菌は、144例が肺炎連鎖球菌、62例がインフルエンザ菌であった。

 対照群は、入院日および時間が披験群と同じであり、肺炎および急性冠症候群以外の理由で入院した395例だ。

 両群を比較した場合、単変量解析を行った結果、入院15日以内に急性冠症候群を発症していたのは、肺炎患者のうち22例(10.7%)であったが、対照群では6例(1.5%)だった。オッズ比は7.8(95%信頼区間[95%CI]:3.1-19.4、p<0.001)だった。

 交絡因子を調整しても肺炎は依然として有意な要因で、オッズ比は8.5(95%CI:3.35-22.23、p<0.001)だった。

 さらに、肺炎で入院する前後1年間に急性冠症候群を1回以上発症していた36例の患者について検討した。この結果、冠症候群は入院から15日目までの「潜在的に危険な」時期に集中する傾向を示していた。特にこの36例では、21例(58%)にのぼる症例がこの時期に発症しており、相対リスクは47.6(95%CI:24.5-92.5)だった。

 Corrales-Medina氏は、「これは、もし肺炎が急性冠症候群の原因であるならば、このような結果が得られると予想される現象」と語った。しかし、レトロスペクティブ試験であり、因果関係を立証できていないため、どのようなメカニズムが関与しているのか見極めるにはさらに検討が必要であるとした。

 この試験に参加していない、オーストラリアAustin病院のLindsay Grayson氏は「この試験は非常に見事である。なぜなら、非常に明確な実用的メッセージを与えてくれているから」と、評価した。「肺炎にかかった患者がいれば、無症候性の心筋梗塞がないかをチェックしなくてはならない」(Grayson氏)。

 その一方でGrayson氏は、この試験ではイベントの原因を突き止めるにいたらず、反対に軽度心不全を有する患者が、急性冠症候群の引き金となっている肺炎になりやすいということかもしれないとし、「実際の因果関係は、逆なのではないかという疑問を感じた」と指摘した。

 Corrales-Medina氏による試験は、今回発表された、市中肺炎を背景とした心臓疾患に関する転帰の問題に関する2つの研究のうちの1つだ。

 もう1つの発表は、Louisville大の研究者によるもので、重度肺炎で入院した500例のうち15%の患者が入院時にすでに心筋梗塞を併発していたというものだった。

 入院中に「clinical failure」に至った患者の20%は、心筋梗塞も併発していた。そして、市中肺炎で入院した患者の多くに急性心筋梗塞がみられ、clinical failureの病因として疑う必要があると結論した。

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