日経メディカルのロゴ画像

医師の経験と専門性により心筋梗塞後の治療薬処方に差
Post-MI Treatment Varies by Physician Experience and Specialty

2008/11/05

 年配の医師や心臓病専門医以外の医師では、最新の科学的根拠に基づく心筋梗塞治療を取り入れるペースが遅い傾向があることが、行政のデータベースを用いた研究から明らかになった。

 カナダトロント大のPeter C. Austin氏らは、急性心筋梗塞患者が心臓病専門医以外の医師を受診した場合、心臓病専門医を受診した場合に比べて、退院後にβ遮断薬RA系抑制薬、またはスタチンを処方される割合が18~54%少ないことを明らかにした。結果の詳細は、10月21日発行のCanadian Medical Association Journalに掲載された。また、29年以上の診療経験をもつ医師は、最近大学を卒業した医師と比較して、β遮断薬やスタチンを処方する割合が、それぞれ29%および19%少なかった。

 データベースを解析した結果、心臓病専門医ならびに患者数が多い病院や大学附属病院の医師は、これら最新の治療法をより迅速に採用していることがわかった。そこで、医療の質向上への取り組みとして、新しい治療法の採用が遅い集団への働きかけを著者らは提唱している。

 例えば、症例数が少ない医師が科学的根拠に基づいた心筋梗塞の治療法をより速やかに取り入れるには、大学附属病院と一般病院との協力を促し、心臓病専門医によって作成された退院時標準チェックリストを普及させることなどだ。

 しかし、同時に掲載された論説では、エール大のJersey Chen氏ならびにHarvard Medical SchoolおよびHarvard School of Public HealthのSharon-Lise Normand氏が、一般内科医や最近卒業した医師、専門医といったサブグループをターゲットにするのは問題があると注意を喚起している。

 それは、全ての医師の集団に、期待を超える成績あるいは下回る成績を出す施設や医師がいるとの指摘があり、Centers for Medicare & Medicaid Servicesによる病院評価などの尺度と、患者の転帰との関連はあいまいなものに過ぎないからだ。論説の筆者は、看護の質、院内合併症、患者教育および退院後のフォローアップなどの他の要因も、等しく重要だと指摘した。

 今回、Austin氏らは、オンタリオの公的医療制度データベースに登録されていた65歳以上の急性心筋梗塞患者で、1992年から2005年までの13万2778例について、科学的根拠に基づく治療実績をレトロスペクティブに検討した。

 この14年間に退院後90日以内にスタチン、β遮断薬およびRA系抑制薬を処方された患者の割合は、それぞれ4.2%、42.6%および42%から、いずれも約80%に上昇した(全てp<0.001)。

 内科専門医(オッズ比:0.98、p=0.001)および他の準専門医(オッズ比:0.98、p=0.016)では、RA系阻害薬の退院後処方率が、心臓病専門医よりも低かった。一般医および家庭医(オッズ比:0.97、p=0.002)、一般内科医(オッズ比:0.97、p<0.001)および他の専門医(オッズ比:0.97、p<0.001)も、スタチンの投与開始時期が心臓病専門医よりも遅かった。

 しかし、β遮断薬は逆の傾向を示し、一般内科医(オッズ比:1.02、p=0.008)および他の専門医(オッズ比:1.02、p=0.016)の方が高い投与率を示した。

 心筋梗塞の年間症例数が少ない施設の医師も、新しい科学的根拠に基づく治療法の採用が遅く、以下のような傾向がみられた。

この記事を読んでいる人におすすめ