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早い成長は成人期の血圧と関連する
Early Growth Linked to Adult Blood Pressure

2008/10/07

 生後5カ月間の体重増加率は、20歳代半ばの血圧を予測するのに役立つかもしれない。出生後に最も早く体重が増加した乳児の群では、25歳ごろの収縮期血圧および拡張期血圧が、正常なペースで体重が増加した乳児の群と比べて有意に高かった(それぞれp=0.007、p=0.03)と、英ブリストル大のY. Ben-Shlomo氏らがHypertension誌に報告した。

 また、生後19カ月から5歳までの体重増加率は、その後に収縮期血圧が高くなることと関連していた(p=0.01)。この知見は、出生時体重とは無関係であった。過去の試験結果と一致して、出生時の低体重は成人期の収縮期高血圧と関連していたが(p=0.04)、拡張期血圧とは関連していなかった。

 Ben-Shlomo氏は、「なぜ一部の人で人生後半に血圧が高くなるのかを理解しようとするとき、われわれは食事中の塩分や肥満などの成人期の危険因子だけではなく、人生の早い時期も考慮に入れたライフコースアプローチを検討する必要がある」と語っている。

 しかしながら、この結果を個々の乳児に当てはめることはできないため、両親は必ずしも自分の子の体重増加が早いことについて心配する必要はないという。「成人になっても維持可能な賢明な習慣を確立するために、子供のころから、健康な食事をしっかり取らせ、定期的に運動させることがより重要である」とBen-Shlomo氏は言う。

 Ben-Shlomo氏らは、出生時の低体重が後の人生で収縮期血圧が高くなることと関連していることは十分に確認されているものの、早い成長と血圧の関係を検討した試験はこれまでほとんどなかったと述べている。

 そこで彼らは、1970年代にウェールズの2つの小さな町で出生から5歳まで小児の成長を追跡したBarry Caerphilly Growth Studyの参加者をさらに追跡調査した。今回の試験の参加者の平均年齢は25歳であった。

 質問表に記入し、血圧を測定した男性362例、女性318例のデータが得られた。男性の方が、出生(3.44 kg対3.3 kg)から5歳(19.1 kg対18.6 kg)までの各時点で体重が有意に重かった(ともにp<0.01)。また、成人期の収縮期血圧(123.5mmHg対108.0mmHg)および拡張期血圧(71.5mmHg対68.3mmHg)も、男性の方が高かった(ともにp<0.001)。

 出生時の身長および体重も後の血圧と関連しており、さらに出生時の体重および生後5カ月間の体重増加も関連していることがわかった。生後5カ月間、並びに生後19カ月から5歳までの身長の増加は、25歳ごろの拡張期血圧が高いことと関連していた(それぞれp=0.005、p=0.009)。生後5カ月から18カ月までの身長増加は、成人期の収縮期血圧が高いことと関連していた(p=0.05)。在胎期間からは、収縮期血圧(p=0.40)も拡張期血圧(p=0.17)も予測できなかった。
 
 この試験により、「胎児起源および成長加速説を裏付けるような、出生時体重および出生後の成長が収縮期血圧と関連していることを示す証拠がさらに加えられた」と、研究者らは語る。

 成長加速説によると、栄養補給に関連した出生後の成長は、血圧との関連において胎児発達よりも重要である。研究者らは、この関連の背景にあるメカニズムは不明であるとしながらも、「出生前および出生直後の異常な成長パターンは、動脈壁におけるエラスチンとコラーゲン線維の比率に長期にわたり影響を及ぼす可能性があることが議論されてきた」と語っている。

 さらに、このメカニズムとして、「出生後の成長を制御する遺伝子自体が血圧を決定するという一般的な遺伝的影響を反映している可能性」、「出生後の環境因子の影響を受ける可能性」、もしくは「その両方の組み合わせによる可能性」があるのではないかとしている。

 なお研究者らは、この試験には6歳から24歳までの成長データがない、および追跡不能者があるなどの限界があることを認めている。

 米国ミシシッピ大医療センターの B. Alexander氏および N. Ojeda氏は、同誌の論説において、「この試験から得られる新たな洞察として、出生前および出生直後の期間の両方が、血圧の発達プログラムの感受性期であることを示している」と書いている。

 著者らは、「早い成長と成人期の血圧とを結びつけるメカニズム研究の重要性が示された」と結論付けた。

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