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ステント留置から別の手術実施までの最適待機期間
Study Suggests Optimal Wait Times for Surgery After Stenting

2008/10/07

 待機的な心臓以外の外科治療(noncardiac surgery;NCS)を実施する場合、患者がベアメタルステントBMS)留置後なら90日間以上、薬剤溶出ステント留置後(DES)なら1年以上たってから行った方がよいとする研究結果が発表された。さらに、論文の共著者である米メイヨークリニックのCharanjit S. Rihal氏によれば、患者が2種類の抗血小板薬(アスピリンとクロピドグレル)を服用している間は、手術のリスクが最も高くなることも判明した。

 これらの結果は、冠動脈ステント留置後の患者に待機的外科治療を行った際の心イベントリスクを評価した、メイヨークリニックによる2報の論文から明らかになった。同論文はAnesthesiologistsの10月号に掲載された。

 現行の米国心臓学会/米国心臓協会(ACC/AHA)のガイドラインでは、(1)BMS留置後は2種類の抗血小板薬を1カ月服用した後、6週間待機してからNCSを行うこと、(2)DES留置後は最低12カ月間、2種類の抗血小板薬を服用してからNCSを行うこと―を勧めている。

 BMSについての解析対象は899例、DESについては520例だった。BMSの解析対象者は1990年1月1日から2005年1月1日までの期間に治療を受けた。DESの解析対象者は2003年4月22日から2006年12月31日までの期間に治療を受けた。

 それぞれの研究者はステント留置後にNCSを受けた患者の合併症のリスクを検討し、手術に関連する有害な心イベントとステント留置の間の時間的な関係を評価した。その結果、以下のような知見を得た。

(1)DES留置患者について、NCS後の主要な急性冠動脈イベントの発症リスクとPCIの実施タイミング(PCIからNCSまでの時間)との間に有意な相関はなかったが、イベントリスクが最も低かったのは、DES留置後12カ月以上たってから手術を実施した場合であった。

(2)BMS留置患者のうち、30日以内にNCSを実施したグループの合併症率は10.5%、31~90日では3.8%、91日以降は2.8%であった。

(3)多変量解析では、BMS留置患者についてはステント留置からNCSまでの時間が、NCSにおける心合併症の有意な予測因子であることが確認された。オッズ比は3.2(95%信頼区間:1.5-6.9、p=0.006)だった。

(4)単変量解析では、DES留置患者について、年齢、PCI時のショック、抗血小板薬の2剤併用、心筋梗塞既往歴が、NCSにおける心合併症の有意な予測因子であることが分かった(すべてp<0.05)が、最大の単独予測因子(single predictor)は緊急手術であった(p=0.006)。

 本論文の論説において、Johns Hopkins Medical InstitutionsのC. W. Hogue氏およびJ. J. Rade氏は、「この論文は、現在増えつつある『ステント留置患者のNCSのリスクについては、手術のタイミングがすべて』ということを示す論文の1つ」と述べている。

 さらに両氏は「現行のガイドラインは、BMS留置後は最低6週間、DES留置後なら1年間は、待機的NCSの延期を推奨しているが、リスクがこの枠を超えることもあるので注意を要する」と著述している。

 ただし、Rihal氏ら著者は「本試験はレトロスペクティブなデザインであり、β遮断薬やスタチンの使用などに関するデータは把握していない」と、その限界も指摘している。また、冠血管造影を受けて冠動脈疾患が確認されたがPCIやCABGを受けず保存的に治療され、後にNCSを受けた対照群も設定されていない。

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