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欧州心臓学会2008
重度病変ではCABGがステント治療に勝る
ESC:Bypass Surgery Trumps Stents for Complex Coronary Lesions

2008/10/07

 過去に行われた直接対決試験よりも僅差だったが、再び冠動脈バイパス術CABG)が経皮的冠動脈形成術PCI、今回はパクリタキセル溶出ステント[TAXUSステント]を使用)に勝るという結果に。

 SYNTAX(Synergy between Percutaneous Coronary Intervention with TAXUS and Cardiac Surgery)試験を実施したグループは、「スクリーニングした患者の少なくとも3分の1は、依然としてCABGが唯一の治療選択肢である」と結論した。同試験のco-chairmanである独ライプチヒ大のFriedrich W. Mohr氏はこう話すとともに、PCIの適応のない患者については「手術の結果は素晴らしい」が、手術の適応がない患者についてはPCIが「現実的な選択肢」と語った。

 同じくSYNTAX試験のco-chairmanである独エラスムス大のPatrick W. Serruys氏は「今回の対象患者は過去の試験の患者よりも重症例が多かった」と話す。過去の直接対決試験もCABGの方がよい結果となったが、それらの試験ではCABGとの差が2桁になった。

 SYNTAX試験の12カ月後において、PCI群では17.8%が複合エンドポイント(心筋梗塞、脳卒中、死亡または血行再建)に達したのに対し、CABG群は12.1%。5.7%の差は統計的に有意だった(P=0.0015)。

 この試験では非劣性の幅を6.6%とあらかじめ定めていた。「95%信頼区間を計算したとき、差は8.3%であり、これは非劣性エンドポイントを満たしていなかった」とSerruys氏。死亡、心筋梗塞および脳卒中の発生率は2群間で差はなかったが、血行再建術の実施率はPCI群の13.7%に対してCABG群では5.9%と、CABG群の方が良好だった。

 本試験では受診したすべての患者3075例が登録されたが、PCIおよびCABGのいずれにも耐える健康状態という基準を満たしランダム化されたのは1800例に過ぎなかった。残りの1275例は、登録試験群にまわった(CABG:1077例、PCI:198例)。全患者が新規病変を有しており、左主幹部病変は孤立性から3枝病変合併例まであった。この試験は、欧州62施設と米国23施設で実施された。

 登録試験群では群間の差はさらに開き、12カ月後のPCI群では20.4%が、死亡、心筋梗塞、血行再建術の施行を受けていた。PCI群がCABG群に勝ったハードエンドポイントは脳卒中で、その発症率はゼロだった。無作為化試験におけるCABG群の脳卒中発症率は2.2%だったのに対しPCI群は0.6%で、登録試験のCABG群の脳卒中発症率は2.2%だった。

 TAXUSステントの製造会社で本試験のスポンサーとなったBoston Scientific社のassociate chief medical officer、Keith D. Dawkins氏は「脳卒中率の差がPCIを有利にするだろう。患者は脳卒中リスクを考え、再度ステント治療を受ける方を選択するのではないか」と話す。数年前まで転帰の差は15%でCABGの方が良好だったが、PCIとCABGの差は縮まっていることもDawkins氏は強調した。

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