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第45回
3種類の新規抗凝固薬から何を選ぶ?─私の考え方─

2013/07/11

 ご無沙汰しています。「心房細動による脳卒中予防」に関する知識や情報はずいぶん広がりました。私自身は社会的な「心房細動の無症候化」を実感しているので、近い将来、社会に対して心房細動に関する啓発活動をどのように行うかが重要なテーマになると思っていますが、取りあえず久々の今回は、それよりスケールの小さい、かなり世俗的な感じのテーマにさせていただきます。

 それというのも最近、「実際のところ、先生はどうしているのですか?」と非常によく聞かれるようになったからです。ある種の降圧薬のように(特定しませんが、お察しください)どれも似たり寄ったりの薬物ならよいのですが、新規抗凝固薬にはそれぞれの薬物に特徴があり(強みと弱みがあり)、とても「どれを選んでも同じですよ」とは言いにくいのが実情です。そこで、脳卒中の1次予防を担っている私の現時点での考え方をお示ししようと思ったわけです。

 私の考え方の重要なポイントは3つあります。

(1)適切な抗凝固療法を行うと医師も患者も脳卒中より大出血に出会いやすくなる
(2)クレアチニンクリアランスは腎機能というより大出血のリスクマーカーである
(3)3つの新規抗凝固薬は、クレアチニンクリアランス別に大出血の頻度が異なる可能性が高い


(1)適切な抗凝固療法を行うと医師も患者も脳卒中より大出血に出会いやすくなる


 なんと矛盾する現実・・・でも実際のところそうならざるを得ないのです。日本で行われ、最近その結果が発表されたJ-RHYTHM Registryの研究結果を紹介します。心房細動患者が登録され、2年間の脳卒中・全身性血栓塞栓症、入院を要する大出血の頻度が検討されました。患者登録時のワルファリン投与の有無、INR値別にアウトカムを見てみましょう(図1)。

著者プロフィール

山下武志(心臓血管研究所所長・付属病院院長)やました たけし氏。1986年東大卒。同大第二内科に入局。阪大第二薬理学、東大循環器内科助手などを経て、2000年から心臓血管研究所第三研究部長、2011年から現職。不整脈診療の第一人者であるとともに、分かりやすい著書や講演でも名をはせる。

連載の紹介

山下武志の心房細動塾
不整脈の診療に造詣の深い山下武志氏が、自身の経験と最近充実してきたエビデンスを踏まえ、心房細動診療の最新の考え方と実践例を紹介する。同氏が提唱する「3ステップ」や「洞調律への復帰をあせるべからず」「患者満足度の重視」という視点は、心房細動を診るすべての臨床医が傾聴すべき真実を含んでいる。

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