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第44回
抗凝固療法に伴う大出血の人種差を考える

2012/11/06

 これまで、ワルファリン療法に伴う頭蓋内出血は大きな悩みの種でした。新規抗凝固薬はこの頭蓋内出血の発生頻度をワルファリンより大幅に減少させるとされています。

 ワルファリン療法に伴う頭蓋内出血は昔から日本人に多いのではないかと考えられてきましたが、これまで大きく取り上げられることはあまりなかったようです。今回は、抗凝固療法に伴う頭蓋内出血をはじめ大出血に、人種差あるいは環境による差があるのかという問題を考えてみたいと思います。

ワルファリン療法に伴う頭蓋内出血はアジア人に多い

 そもそもワルファリン療法で頭蓋内出血が増加する理由は何でしょう。組織因子が豊富な脳では、この組織因子と第VII因子の結合をトリガーとする機構に止血が依存する割合が高く、ワルファリンは第VII因子の産生を抑制するため止血しにくくなると考えられています。一方、新規抗凝固薬は第VII因子を温存するので止血機構が維持されやすいというわけです。

 さて、ワルファリン療法に伴う頭蓋内出血の発生頻度に人種差があることは既に知られています。アメリカでINR 2.0~3.0を目標とするワルファリン投与を行った場合の頭蓋内出血の発生率が人種別に報告されています。

著者プロフィール

山下武志(心臓血管研究所所長・付属病院院長)やました たけし氏。1986年東大卒。同大第二内科に入局。阪大第二薬理学、東大循環器内科助手などを経て、2000年から心臓血管研究所第三研究部長、2011年から現職。不整脈診療の第一人者であるとともに、分かりやすい著書や講演でも名をはせる。

連載の紹介

山下武志の心房細動塾
不整脈の診療に造詣の深い山下武志氏が、自身の経験と最近充実してきたエビデンスを踏まえ、心房細動診療の最新の考え方と実践例を紹介する。同氏が提唱する「3ステップ」や「洞調律への復帰をあせるべからず」「患者満足度の重視」という視点は、心房細動を診るすべての臨床医が傾聴すべき真実を含んでいる。

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