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第40回
ROCKET-AF試験の論文をどう読むか(中)

2012/01/19

 明けましておめでとうございます。

 前回から、約4カ月のご無沙汰となってしまいました。しかも、前々回(第38回)「ROCKET-AF試験の論文をどう読むか(上)」を、中途半端な形で終えたままでした。早くその続きを書かなければという気持ちはあったのですが、本職業務で新たなフィールドについて勉強しなければならなくなったため、なかなか更新することができず、申しわけありませんでした。

 さて第38回の本稿上編では、ROCKET-AF試験における多種類の解析方法とそのプレゼンテーションの複雑さについて述べました。特に、ITT解析on-treatment解析の違い、そして両者で結果が異なる場合、一方だけを強調して述べることに疑問を呈しました。

 その後、N Engl J Med誌2011年12月15日号のCorrespondence欄では、To The Editorとして雑誌読者から同じようにon treatment解析結果を強調することに対する批判的意見や、「ROCKET-AF試験のワルファリン群ではINRコントロールが他の試験と比較して不良であり、管理不良のワルファリン群と比較することがそもそもどうなのか?」という意見が掲載されています。

 ITT解析とon treatment解析がどれほど劇的に異なるかを示す別のよい例を米食品医薬品局(FDA)が発表しています。FDAのWebサイトから入手できますので、興味のある方は以下のページにアクセスしてドキュメントをダウンロードしてみてください(7.7MBある重いファイルとなりますが)。

【ドキュメント】
FDA Briefing Information for the September 8, 2011 Meeting of the Cardiovascular and Renal Drugs Advisory Committee (PDF 7.70MB)

 このドキュメントの90ページの表の最上段には、ある試験のon treatment解析結果が、最下段にはITT解析結果が提示されています。両者から受ける薬物効果の印象が全く異なります。この試験結果をon treatment解析の図だけを用いて提示をすることは、アンフェアですね。

 この臨床試験の名前はと言うと、残念なことに日本でリバーロキサバンを用いて行われたJ-ROCKET試験なのです。
 

著者プロフィール

山下武志(心臓血管研究所所長・付属病院院長)やました たけし氏。1986年東大卒。同大第二内科に入局。阪大第二薬理学、東大循環器内科助手などを経て、2000年から心臓血管研究所第三研究部長、2011年から現職。不整脈診療の第一人者であるとともに、分かりやすい著書や講演でも名をはせる。

連載の紹介

山下武志の心房細動塾
不整脈の診療に造詣の深い山下武志氏が、自身の経験と最近充実してきたエビデンスを踏まえ、心房細動診療の最新の考え方と実践例を紹介する。同氏が提唱する「3ステップ」や「洞調律への復帰をあせるべからず」「患者満足度の重視」という視点は、心房細動を診るすべての臨床医が傾聴すべき真実を含んでいる。

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