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第39回
閑話休題したくなる驚き、ARISTOTLE試験

2011/09/02

 前回、「ROCKET-AF試験の論文をどう読むか(上)」をアップしましたが、この文章は8月27日のESC2011(欧州心臓病学会)開催前に書き上げたものでした。そして今、ESCに出席しているのですが、8月28日に驚くべき試験結果が発表されました。ROCKET-AF試験の解説を続けている場合ではないと閑話休題にして、今回はこの試験結果について解説したいと思います。

 アピキサバンapixaban)を用いたARISTOTLE試験(アリストテレスという意味だそうです)の結果で、N Engl J Med誌に即日掲載されました。その内容はシンプル、極めて明快です。

 まず試験の簡単な概説をしましょう。基本的に脳梗塞のリスクを1つ以上持つ心房細動患者が満遍なく登録されており、RE-LY試験とよく似た患者背景です。投薬はdouble-blindでなされ、INR 2.0~3.0にコントロールするワルファリン投与群と、アピキサバン5mg・1日2回投与群に割り付けられました。

 有効性の1次エンドポイントを脳卒中・全身性塞栓症として、安全性の1次エンドポイントを大出血として比較しています。

 非常に感心したことは、80歳以上、体重60kg以下、血清クレアチニン1.5mg/dL以上の患者では出血リスクが高いことから、アピキサバンの投与量は半量の2.5mg1日2回投与と用量設定を変えていたことです。

 結果を示しましょう。平均1.8年間の試験期間で、対照群であるワルファリン群のTTRは62%と良好にコントロールされていました(RE-LY試験とほぼ同様で、ROCKET-AF試験より高い値です)。結果の図を2つ示しますが、驚くべき、また賞賛すべき結果です。そして、これらの結果解析は基本であるITT解析でなされていることも付け加えておきます。
 

著者プロフィール

山下武志(心臓血管研究所所長・付属病院院長)やました たけし氏。1986年東大卒。同大第二内科に入局。阪大第二薬理学、東大循環器内科助手などを経て、2000年から心臓血管研究所第三研究部長、2011年から現職。不整脈診療の第一人者であるとともに、分かりやすい著書や講演でも名をはせる。

連載の紹介

山下武志の心房細動塾
不整脈の診療に造詣の深い山下武志氏が、自身の経験と最近充実してきたエビデンスを踏まえ、心房細動診療の最新の考え方と実践例を紹介する。同氏が提唱する「3ステップ」や「洞調律への復帰をあせるべからず」「患者満足度の重視」という視点は、心房細動を診るすべての臨床医が傾聴すべき真実を含んでいる。

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