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第35回
ダビガトランの薬価についてどう思いますか

2011/03/10

 心房細動患者の脳梗塞予防に、ワルファリンとは異なる新しいツール、ダビガトラン(商品名プラザキサ)が間もなく使えるようになります。第32回でもお知らせしましたが、これまでの抗凝固療法に対する考え方を切り替える必要があると思っています。

 また、日本の心原性脳梗塞数が初めて減少に転じる大きなきっかけになるとも期待しています。この新規薬物の登場で、次のようなパラダイムシフトが生じるはずです。

(1)薬物の効果・安全性の個体差が少ない
(2)24時間安定しない抗凝固活性でも脳梗塞予防が可能である
(3)治療域と中毒域が近接していないため、脳梗塞を減少させても頭蓋内出血は増加しない

 特に(2)と(3)は、採血によるモニタリングを不要にする理由にもなっています。自分たちに染みついている旧来の抗凝固療法に対する考え方からはなかなか抜け出しにくいですが、時間をかけてこのパラダイムは受け入れられるようになるだろうと予想しています。

 そんな折、3月3日の日経メディカル オンライン循環器プレミアムで、ダビガトランの薬価基準への収載が承認されたという記事を読みました。

 この薬価を知り、正直なところ自分自身どのようにとらえてよいのか分からないでいます。これまで一医師として薬価のことをあまり深く考えてきたことがありません。また、薬価は国が決定することなので、考えても仕方がないことと思ってきました。しかし、期待が大きかっただけに、もう少し安価であってほしかったと感じたわけです。

 そして、読者の先生方がこの薬価をどうお感じになられたかと知りたくなりました。日本の心原性脳梗塞を減少させるためには、心房細動診療にかかわるすべての医師の気持ちが重要だからです。

 といっても、比較の対象や視点は様々であり、いい・悪い、あるいは高い・安いというような単純な問題でもありません。


著者プロフィール

山下武志(心臓血管研究所所長・付属病院院長)やました たけし氏。1986年東大卒。同大第二内科に入局。阪大第二薬理学、東大循環器内科助手などを経て、2000年から心臓血管研究所第三研究部長、2011年から現職。不整脈診療の第一人者であるとともに、分かりやすい著書や講演でも名をはせる。

連載の紹介

山下武志の心房細動塾
不整脈の診療に造詣の深い山下武志氏が、自身の経験と最近充実してきたエビデンスを踏まえ、心房細動診療の最新の考え方と実践例を紹介する。同氏が提唱する「3ステップ」や「洞調律への復帰をあせるべからず」「患者満足度の重視」という視点は、心房細動を診るすべての臨床医が傾聴すべき真実を含んでいる。

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