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第12回
抗不整脈薬で洞調律化しても心不全の発症・増悪は防げない

2008/10/24

 洞調律化を目指す治療は、心原性脳梗塞の予防にはつながらないかもしれないが、心房細動による心不全の発症や悪化は防げるはずだと考える読者もおられるのではないかと思います。確かに、心不全の合併は、心房細動患者さんの予後に最も強く影響を及ぼす因子であると以前の記事(第3回)で述べました。
 
 そこで、わが心臓血管研究所で、心不全入院の既往歴のない心房細動患者(248例)を追跡調査してみました。すると、入院を要する心不全の発生率は年率2%で、抗不整脈薬投与や電気的除細動を行った患者群でもその発生率は減少していなかったのです1)。心不全の発症に影響を与える因子を解析した結果、心臓の器質病変の存在だけが独立した危険因子でした。

著者プロフィール

山下武志(心臓血管研究所所長・付属病院院長)やました たけし氏。1986年東大卒。同大第二内科に入局。阪大第二薬理学、東大循環器内科助手などを経て、2000年から心臓血管研究所第三研究部長、2011年から現職。不整脈診療の第一人者であるとともに、分かりやすい著書や講演でも名をはせる。

連載の紹介

山下武志の心房細動塾
不整脈の診療に造詣の深い山下武志氏が、自身の経験と最近充実してきたエビデンスを踏まえ、心房細動診療の最新の考え方と実践例を紹介する。同氏が提唱する「3ステップ」や「洞調律への復帰をあせるべからず」「患者満足度の重視」という視点は、心房細動を診るすべての臨床医が傾聴すべき真実を含んでいる。

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