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第6回
ワルファリンの適応を見分ける簡便な方法

2008/08/01

 一見健康な姿で通院していた患者が、ある日突然片麻痺になったという報告を受けたとき、医師としてもう少し何かできなかったかという苦い反省をした経験を持つ医師は、筆者を含めてかなり多いだろうと思います。ある意味、患者自身の人生、その家族の人生という観点から見れば、心房細動自体よりもそれに伴い発症する重篤な心原性脳梗塞の方がはるかに重大な問題です。ワルファリンのunderuseの実態を見るにつけ、そのことを認識している医師はまだ多くはないように思われます。

 とはいうものの、すべての心房細動患者に対して「脳梗塞を起こすかもしれません」と脅かして、抗凝固療法を勧める必要はありません。脳梗塞になりにくい患者に抗凝固薬を投与すれば、逆に出血性合併症のリスクの方が高くなってしまいます。この場合は逆にワルファリンを処方したことを後悔することになるかもしれません。このようなことから、心房細動患者における脳梗塞の予防は、放置した場合の脳梗塞の危険性と、抗凝固療法を行った場合の出血性合併症の危険性とのバランスをどのように予測するか、ということに尽きます。

著者プロフィール

山下武志(心臓血管研究所所長・付属病院院長)やました たけし氏。1986年東大卒。同大第二内科に入局。阪大第二薬理学、東大循環器内科助手などを経て、2000年から心臓血管研究所第三研究部長、2011年から現職。不整脈診療の第一人者であるとともに、分かりやすい著書や講演でも名をはせる。

連載の紹介

山下武志の心房細動塾
不整脈の診療に造詣の深い山下武志氏が、自身の経験と最近充実してきたエビデンスを踏まえ、心房細動診療の最新の考え方と実践例を紹介する。同氏が提唱する「3ステップ」や「洞調律への復帰をあせるべからず」「患者満足度の重視」という視点は、心房細動を診るすべての臨床医が傾聴すべき真実を含んでいる。

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