
図1 Framingham 研究における年間死亡率
心房細動のある患者さんは、洞調律の患者さんに比べて予後が悪い。だから、心房細動の患者さんを初めて診たとき、早くどうにかしなければという思いに駆られるのは当然のことと思います。実際、Framingham studyという世界的に有名な前向きコホート研究の結果によれば、心房細動例では洞調律例より死亡率が高く、男女とも高齢になればなるほど死亡率が高くなることがわかっています(図1)1)。
しかし、このような加齢に伴う死亡率の上昇は、必ずしもすべて心房細動自体が寄与しているものではないことに注意する必要があります。前回、心房細動のある患者さんは多種多様であると述べました。多くの患者さんが、心不全、高血圧、糖尿病、脳梗塞の既往などさまざまな背景因子を単独あるいは複数合併していますが、むしろ、それら背景因子の方が予後に強い影響を及ぼしていることが少なくないのです。