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テクニカルライティング(科学的情報の伝え方)の特徴とは
英語の発表原稿、チェックするポイントはここ

2012/10/25

 今回から6回のシリーズで、ライティングからプレゼンテーション、そしてディスカッションのそれぞれについて、ワンランク上の英語発表を目指すための基本を解説していきたいと思います。初回は、「テクニカルライティング科学的情報の伝え方)の特徴」を取り上げます。

 科学技術英語においてライティングの出発点は、テクニカルライティングに徹するということです。

 テクニカルライティングとは、普通のことをそのとおりに正確に明確に伝達する言葉で表現することです。そのために必要不可欠なことが、批評的考え方(クリティカルシンキング)です。自分が得た情報を分析し、一定の基準で分類する。その上で論理的に考え、問題点を解決していく。こうした一連の思考的活動のことをクリティカルシンキングと呼びますが、その成果を表現する方法がテクニカルライティングとなるわけです。

 文学的エッセイとテクニカルライティングの違いをみると分かりやすいと思います。

(A) The heart is the seat of feeling, understanding, and thought.
(B) The heart is a hollow muscular organ that keeps up the circulation of the blood.


 例文の(A)は、文学的な表現で「心は感情、思考、理解の宿るところである」となります。一方の(B)は、テクニカルな表現で「心臓は血液の循環を保つ空隙筋肉器官である」と表現しています。

 文学的エッセイは、ごく普通のことのなかから、面白いこと、美しいこと、恐ろしいことなどを強調して表現します。しかし、テクニカルライティングでは、より客観的に書くことを目的としているのです。

著者プロフィール

森村久美子(東京大学大学院工学系研究科准教授)もりむらくみこ氏。大阪大学卒業後、日本航空に勤務。よみうり文化センター、横浜YMCAなどで英語教師を勤めた後、7年間の渡米生活を経て2000年に東京大学大学院に入学。2006年に同大学大学院工学系研究科講師、2011年より現職。

連載の紹介

ワンランク上の英語発表を目指して(入門編)
国内学会においても、研究成果を英語で発表する機会が増えています。「使える理系英語の教科書」の著者である森村久美子氏が、科学技術英語の特徴を解説しながら、ライティング、プレゼンテーション、ディスカッションの各場面において、ワンランク上の英語発表を目指して取り組むべき基本をまとめます。

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