
ユージン・ブラウンワルド氏(参考文献2のYouTube動画より)
世界中の循環器専門医が、新刊であれ古本であれ、一度は手に取るであろうユージン・ブラウンワルド(Eugene Braunwald)氏の心臓病学教科書「Braunwald's Heart Disease」は、2021年もまた版を新たにして進化を続けている。
ターチ・ヤマダ卿(ミシガン大学内科部門長、グラクソ・スミスクライン研究開発部長、ビル&メリンダ・ゲイツ財団グローバルヘルス部門長、武田薬品工業取締役などを歴任した山田忠孝氏)の「Textbook of Gastroenterology」と並んで、ブラウンワルド氏の心臓病学教科書も、世界中の医学生・内科系医師の必携書になっているのではなかろうか。ヤマダ氏は故人だからレジェンドの呼び名は自然だが、いまだに現役研究者として最前線に立つブラウンワルド氏の影響力は、怪物と言うべきなのかもしれない。
ブラウンワルド氏は92歳にして現役のハーバード大学教授で、今もブリガムアンドウィメンズ病院に所属している[1]。2018年の情報ではあるが、オフィスには毎日出勤し仕事をされていると聞く。YouTube上には、2021年にアップされた同氏の動画もある[2]。
また、最新刊の心臓病学教科書は、ブラウンワルド氏が隔月で更新するオンラインコンテンツも含むらしい。日本のいわゆるレジェンドとは異なる働きぶりなので、筆者にはもはや異次元の人としか思えない。それを許し支えている社会環境にも驚く。米国の年齢差別禁止法は1967年に制定され、定年は違法と聞く。