
ファイザー製COVID-19ワクチン(写真提供:同社)
2月17日から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が本邦でも始まった。最初に使われるのは「コミナティ筋注」(商品名、開発コードBNT162b2)という米ファイザーのワクチン(右写真)だが、その名の通り筋肉注射で接種される。現在、厚生労働省が提示している予防接種のガイドラインではほぼ全てのワクチンが皮下注射であり、インフルエンザワクチンとの接種法の違いは印象的だ。
世界の趨勢ではワクチンは筋注だが、日本国内ではワクチンの筋注が避けられてきた。その理由として、薬剤筋注投与による大腿四頭筋短縮症が社会問題となった時代背景がある。しかし、原因薬剤となったものはワクチンではなく、抗菌薬やスルピリンなどの鎮痛剤の筋注投与だった。
何事も慎重にという、お役所の方針が反映された結果なのだろう。だがさすがに、地球規模のパンデミックに対する現時点での最大の科学的希望であるワクチンに対しては、本邦のお役人も海外に歩調を合わせるしかなかったと推察される。