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心筋ミオシン活性化薬に対する期待と不安
オメカムチブ・メカルビルの第3相試験GALACTIC-HFの結果を読み解く

 ホスホジエステラーゼ3阻害薬enoximone(国内未発売)の臨床試験ESSENTIAL[1]以来、11年ぶりの新規経口強心薬の臨床試験の結果発表に、期待と不安が入り交じった思いを持った循環器科医は少なくなかったはずだ。

 11月13日、米国心臓協会学術集会(AHA2020)での発表と同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載されたオメカムチブ・メカルビル(omecamtiv mecarbil)に関する第3相試験GALACTIC-HFの結果は、一次評価項目である複合心血管イベント(心不全イベント+心血管死亡)のリスクが8%低下するという(ハザード比:0.92、95%信頼区間:0.86-0.99、P=0.03)、軽度ではありながら有意に転帰を改善したとする内容だった[2]。日経メディカルOnlineでもいち早く、学会発表の詳細を紹介していた(心筋ミオシン活性化薬、抗心不全作用は軽度、2020/11/16)。

 だが、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)やナトリウムグルコース共輸送体(SGLT)2阻害薬が心不全患者の死亡率を減少させた結果を踏まえると、今回の成績には期待外れとの印象を持った方も多いだろう。実際、心血管死亡も総死亡も、プラセボ投与群に比較した有意なリスクの低下は認められなかった。

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

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