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 教育病院での研修内容は、毎年目まぐるしく変わる。最近はアーリーエクスポージャー実習として、医学生が大挙して病院実習にやってくる。そして、医学生自身の経歴が実に多様になった。一度社会人を経験して、医療人を目指す真摯な思いを持った学士入学者。海外から日本の医学部に入学した外国籍の学生。既に他の医療職の国家資格を有し、ダブルライセンスを目指す薬剤師、看護師、理学療法士などの再入学組も多い。これまでの教育方法が通用しない手ごわい相手なのだが、従来ごく少数しか存在しなかった人材で、大化けするかもしれないと思っている。

 とある教育病院の実習スケジュールでは、今日は手術部での見学実習のはずだった。ところが緊急手術が2件続けて割り込んでくるというアクシデントで、諦めざるを得ない事態を迎えていた。その時、研修担当を手術部長から押し付けられた救急部長の耳に、救急車のサイレンが遠方から響いてきた。部長は反射的に、予定にはなかった救急部に学生を誘導した。実習の段取りは何もできていない。しかしスタッフの動きを見せたら、何かつかみ取ってくれるだろう。部長は白衣を素早くスクラブに着替えて若手スタッフに役割分担を振り、一番弟子の助教に患者の病態を尋ねた。

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

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