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Ann Intern Med誌から
心房細動の脳卒中リスク評価は毎年更新すべき
当然の内容だが、それを裏付ける台湾国民健康保険データがすごい

 心房細動患者に対するCHA2DS2-VAScスコアを用いた脳卒中リスク評価は毎年更新されるべきと、台北退役軍人総合病院のTze-Fan Chao氏らがAnn Intern Med誌で提言した[1]。台湾の国民健康保険データベース(NHIRD)の解析によるもので、同誌オンライン版に1月1日掲出された。

 欧米のガイドラインによれば、CHA2DS2-VAScスコアが0または1の場合、心房細動患者の脳梗塞リスクは低いとして経口抗凝固薬は省略可能となっている。しかし、評価された脳卒中リスクは時とともに変動するもので、患者の9割は少なくともリスク因子が1つ増えてから脳梗塞を起こしているという。当初低リスクであっても、併存症が加わればリスクは増加する。

 心房細動診断時点のCHA2DS2-VAScスコアが0(男性のケース)または1(女性のケース)だった患者における、少なくとも1(男性)または2(女性)へのスコア増加の発生率をエンドポイントとして、本研究は実施された。

 対象はNHIRDから抽出された、1997年1月~2010年12月に心房細動との新規診断を受け、CHA2DS2-VAScスコアが0(男性)または1(女性)で、抗血小板薬や抗凝固薬を投与されていない1万4606例。

 NHIRDは、これまでも台湾の薬剤疫学研究に広く用いられてきたデータベースであり、その正確性は既に検証されている。例えば、NHIRDから抽出されたある1施設における1年間の脳梗塞症例372例について、NHIRD上の第9回修正国際疾病・死因統計分類(ICD-9-CM)コードでの診断名と、その施設での診療録上の診断名を照らし合わせたところ、97.9%が一致したという[2]。

 併存症を発症するとICD-9-CMコードによって登録され、CHA2DS2-VAScスコアに加点された。脳梗塞の発症、死亡、抗血小板薬あるいは抗凝固薬の開始、心房細動発症から7年の経過、2011年12月31日のいずれか最も早いエンドポイントに到達した時点で観察は打ち切られた。

 観察対象の平均年齢は47.8歳だった。平均3.24年の観察期間中に、5301例(36.3%)でリスクファクターが1つ以上増加した。男性では1以上のCHA2DS2-VAScスコア増加の累計発生は1年間に16.1%、2年間で24.5%、7年間では49.1%に及んだ。女性ではそれぞれ16.2%、24.9%、49.9%だった。

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

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