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「記者の眼」も取り上げていた健診項目の怪
心電図や胸部X線は12年前の厚労省班研究でも意義不明との指摘

2017/08/23

 ほぼ毎年のように、どこかのメディアが健診人間ドックは本当に役に立つのかという話題を取り上げている。今年は日経メディカル Onlineでも、そんな記事を読んだ(記者の眼◎なんでこんな検査を定期健診に入れている?、2017/6/22)。

 日本式健診というものが世界でどのような位置付けになっているのか、筆者に体系的な知識はない。ただ海外赴任している人の話に基づけば、日本で毎年実施されるような企業健診は海外では存在せず、日系企業の本社から要望される健診は、海外に展開している日系医療機関で受診する以外ないらしい。

 日経メディカル OnlineのKUROFUNETでミュンスター大学の堀籠晶子先生も書いておられるし(ドイツで「人間ドック」が普及しないわけ、2011/8/8)、産業医時代に訪れたロンドンのジャパングリーンメディカルセンター[1]で聞いた話も同様だった。

 産業医としてフランス人実業家の診察を行う機会があったが、当人の母親が産業医(フランス語だと労働医)ということもあり、彼は「健診は大事だと思う。フランスにも日本のような企業健診があるが、5年に1度しか実施しない」という意見だった。

 2005(平成17)年度の厚生労働省班研究に「基本的健康診査の健診項目のエビデンスに基づく評価に関わる研究」があり、極めて画期的な内容を報告していた。つい昨年まではMindsガイドラインライブラリhttps://minds.jcqhc.or.jp/)でその詳細が公表されていたのだが、なぜか今は、内容が取り下げられている。

 その様はネット上で確認できる。Mindsガイドラインライブラリのトップページから、「診療ガイドラインを調べる」→「疾患・テーマから探す」→「健診・予防」→「基本的健康診査の健診項目」とたどると、「最新の科学的知見に基づいた保健事業に係わる調査研究」として、「基本的健康診査の健診項目のエビデンスに基づく評価に係わる研究 健診項目評価要約版 Ver.1.5  平成17年度 分担研究報告 分担研究者 福井 次矢」がすぐに見つかるだろう。

 しかし、「※本ガイドラインは、作成グループのご意向により、本文を取り下げました。(2016年7月20日)」と記載してある。

 この班研究が画期的なのは、具体的な各検診項目に対し5段階の推奨レベルを割り振り、かつその推奨が「忖度なしに」極めて合理的だったからである。以下は、数年前にMindsのページから書き写した筆者のメモに基づく。

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

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