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JAMA Cardiol、Circ Heart Fail誌などから
今後は駆出率を3つに分けるのが常識になる?
HFrEFとHFpEFの間に心不全を解く鍵が存在する可能性

2016/07/28

 今年5月に欧州心臓病学会(ESC)が発表した心不全に関する新しいガイドラインでは、大きな変化がいくつかあった[1]。心不全が疑われる非急性例(non-acute onset)に対する診断アルゴリズムの提案、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(LCZ696)の位置付け、QRS幅130msec未満の患者に対する心臓再同期療法(CRT)の禁忌扱いなどが挙げられるが、筆者が注目したのが左室駆出率(EF)に応じた心不全の新たな分類である[2]。

 2012年のガイドラインにおいて、既にEF 35~50%をグレーゾーンとする概念の提示があったが、今回の新しいガイドラインでは、従来の「EFが低下している心不全(HFrEF)」(EF40%未満)と「EFが保たれている心不全(HFpEF)」(EF50%以上)に、新たに「EFがミッドレンジにある心不全(HFmrEF)」(EF40~49%)が加えられた。

 ガイドライン作業部会長を務めた、ヴロツワフ医科大学(ポーランド)のPiotr Ponikowski氏は、「HFmrEFを新カテゴリーとして追加することで、特有な病態生理の解明や新規治療法の開発が促進されるだろう」と説明する[3]。

 「HFmrEFはへフエムレフとでも読むのだろうか、ややこしくなったな」と思っていたら、今度はHFrecEFが登場した。以前にEFが40%未満の時期があっても現在40%以上に回復している心不全という定義だそうである。この「へフレケフ?」は、HFrEF、HFpEFと比較して3年生存率(図1)や再入院率が各段に良好な集団とのことである。比較的若くて男性が多く、虚血、糖尿病、腎機能障害の合併率も比較的低いといった特徴があるという[4]。

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

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