
第1回奈良コクランレビューワークショップのメンバー 前列中央に森臨太郎コクラン日本支部長、その左隣が奈良県立医大麻酔科の川口昌彦教授、右隣が同教室の田中優講師、右端が筆者である。
日経メディカル Onlineの読者諸氏にとっては、コクランライブラリーやコクランレビューは日常の情報収集ツールの1つに過ぎないかもしれない。だが、本邦のごく一般的な医療関係者にとってはどうなのだろう。
1992年に英国で始まったコクラン共同計画の活動は今や全世界に及ぶが、日本国内でのレビュー活動をサポートする拠点となるコクラン日本支部は、アジア主要国の後塵を拝しながら昨年ようやく、国立成育医療研究センター内に誕生した(日本医学会総会2015関西より◎コクランレビュー、日本人著者が急増中、日経メディカル Online、2015.4.12)。ここまで来るのに、同センター政策科学研究部長でコクラン日本支部長の森臨太郎先生のご苦労は並大抵ではなかったと思う。
筆者は、英国母子保健共同研究所勤務のご経験もある森先生の著書『イギリスの医療は問いかける』でコクラン共同計画に興味を持ったので、2012年にロンドン大学の友人を訪ねた際、当時は同大学衛生熱帯医学大学院内にあったCochrane Heart Groupを訪問した。奇しくも当時と現在のエディター(Fiona Taylor先生とJuan Pablo-Casas先生)にお話をうかがうことができ、日本での勉強の機会を探っていた。
同じ年に京都大学の中山健夫先生が主催された第2回日本疫学会サマーセミナーに参加でき、森先生から直接、フリーソフトのRevManを用いたメタ解析の実習の手ほどきをいただく機会にも恵まれた。
コクランはチームを組んで解析することで研究のバイアスを回避するのだが、仲間を募る機会のないうちに、先述のTaylor先生から心不全患者に対する心臓リハビリテーションに関して、システマティック・レビューのアップデート査読の依頼が来てしまった。
3週間しか余裕がなく、ほぼノーコメントに等しい回答しかできずにずっと後悔の念を持ち続けた。そんな折の今年5月、筆者の地元奈良で、コクランレビューを作成するためのワークショップが開催されると聞き、即参加を決めた(上写真)。