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財務省の“極秘資料”が明らかにした歴代首相たちの健康上の秘密とは

2014/10/16

 10月6日付の産経ニュース政治デスクノートに、興味深い話が紹介されていた[1]。そのコラム執筆者は、財務省幹部が省内で極秘に作成させた1枚の文書を入手したという。そこには戦中の東条英機から現在の安倍晋三まで、第40代から第69代までの首相(実数で36人分)のパーソナルデータがまとめられていた――。(敬称略)

 実は、それは血液型の一覧表だった。執筆者は「O型が突出して多いということです。36人中18人と実に半数を占めており…」と分析していた。

 同記事は、そこから税制改正の話へと続く。しかし筆者の興味を引いたのは、記事が誤報でないとすれば、日本で最もストレスフルな職業に就く人に、国民平均値の約1.7倍の割合で血液型O型が占める理由である。知力や気力はもちろん、何より体力勝負の政治家稼業であれば、血液型O型が健康に与える影響が、歴代首相の血液型比率に関係しているのではないだろうか。

 と考えて少し調べてみると、あるわあるわ、血液型O型が健康上有利であるとする報告が多数見つかってきた。日経メディカル Onlineの古川哲史氏による人気ブログ「基礎と臨床の架け橋」でも取り上げられた血液型と心筋梗塞との関係では、非O型のO型に対する心筋梗塞発症のオッズ比は1.62で、高血圧や喫煙には及ばないものの中等度のリスク要因になっているという(血液型ABOは心筋梗塞発症と相関する!、日経メディカル Online、2013.6.3)。

 血液型を規定する糖鎖修飾酵素が、血液凝固に関わるvon Willebrand因子の糖鎖も修飾することで、O型以外では凝固能を高めるとの由である[2]。

 認知障害と血液型に関しては、大規模前向きREGARDSコホート研究の対象者に行ったコホート内症例対照研究がある[3]。その結果は、AB型と血中第VIII因子高値が、それぞれ認知障害発症リスクの上昇と有意に関連し、O型群と比べたAB型群における認知障害発症のオッズ比は1.82とのことだった。第VIII因子の平均血中濃度はO型群で104 IU/dLと最も低く、AB型群で142 IU/dLと最も高かったが、血液型と認知障害の関連は、第VIII因子とは独立して認められたとのことである。

 また、AB型がO型に比べて男女とも約30%、脳卒中発症のリスクが高かったとした報告もある[4]。

 癌と血液型については既に5年前の2009年に、膵臓癌の発症リスクに関して、Health Professionals Follow-up StudyとNurses' Health Studyの2つのコホート研究を用いて、O型と比べて他の血液型は膵癌の発症リスクが約3割から7割も高くなるとの報告があった[5]。

 同年、NCI(米国立癌研究所)から発表された膵癌に関するゲノムワイド関連解析(GWAS)のPanScan研究においても、膵癌リスクと最も強い相関が認められたSNPは、ABO遺伝子の第1イントロンに位置しているrs505922だった[6]。

 他の癌に関しては、本年の日本泌尿器科学会総会における東京医科歯科大学からのB型における前立腺癌検出のオッズ比が1.41と有意に高かったとの報告や、少数例ではあるがヘリコバクターピロリ感染や胃癌とA型との関係も示唆されたことがある[7]。さらに、腎細胞癌については、発症リスクや生存率が非O型で高まる可能性が示唆されている[8,9]

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

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