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第86回米国心臓協会・学術集会(AHA2013)より
スピロノラクトンはHFpEFに対するlast hopeか
TOPCAT試験では心不全増悪による入院が有意減少

2013/12/16

TOPCAT試験の成績を発表するMarc A. Pfeffer氏

 11月に米ダラスで開催された第86回米国心臓協会・学術集会(AHA2013)で、左室駆出率が保持された症候性心不全(HFpEF;heart failure with preserved ejection fraction)に対するスピロノラクトンの効果を評価した大規模臨床試験、「TOPCAT」の結果が発表された。既に日経メディカル Onlineでも速報され、読者の先生方は詳細をご存知のことと思う(TOPCAT試験から●HFpEFへのスピロノラクトン、心血管死は有意差なしも心不全増悪による入院は有意に減少、2013.11.22)。

 インターネットのおかげで、わざわざ国内外の学会会場へ出かけなくても、その日のうちに発表の概要を日本語で読むことができるようになった。しかも論文が同時発表されているときなどは、生存曲線やサブグループ解析のハザード比といった発表の詳細まで確認できる。

 だが今回数年ぶりに、AHAの学術集会に参加できる機会を得て実際の発表に立ち会うと、やはりライブとネットの差は歴然としていた。発表だけでなく質疑応答の際の聴衆の雰囲気、つまりインパクトの大きさを肌身で感じられるのは、会場ならではである。

 TOPCAT試験の対象は、左室駆出率が45%以上と保たれているが心不全症状を伴う50歳以上の患者で、1年以内に心不全の入院歴があるか、もしくは60日以内に血中BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)ならば100pg/mL以上、NT-proBNP(N末端前駆体BNP)ならば360pg/mL以上に上昇した場合とした。

 この条件を満たす患者をスピロノラクトン群(1722例)またはプラセボ群(1723例)に無作為に割り付け、平均3.3年間追跡した。なお、スピロノラクトンの平均投与期間は8カ月で、平均投与量は25mg/日だった。

 1次エンドポイント(心血管死、心不全増悪による入院、心停止からの蘇生の複合)での有意差は、認められなかった(P=0.138)。有意差がつかなかったとの発表の瞬間、重い溜息が周囲に流れた。

 しかし、心不全増悪による入院において、スピロノラクトン群でハザード比が0.83と有意に低下したことが明らかにされると(95%信頼区間:0.69-0.99、P=0.042)、これまた言葉にならない低い唸り声が聞こえた。

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

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