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BMJ誌から
もし毎朝2個卵を食べるVIPの主治医になったら
現状では1日1個が安全か

2013/02/13

 つい最近、宮内庁大膳課職員として昭和天皇の料理番を26年間務めた谷部金次郎氏が、テレビ番組の中で、毎日の朝食に目玉焼きが2個あったことを披露していた。それを見たとき、別のテレビ番組で紹介していたケネディ大統領の定番の朝食に、2個のポーチドエッグが映っていたことを思い出した。世界的なVIPの大事な健康を守るには、毎朝卵2個は多いのではないだろうか?

 奇しくも最近、卵の摂取量が心血管リスクに与える影響に関する報告が相次いだ。その中から、NIPPON DATA80も含むコホート研究をメタ解析した、中国は同済医科大学のYing Rong氏らのBMJ誌の論文を見ていきたい[1]。


目的:卵の消費量が冠動脈疾患(CHD)および脳卒中に与える影響を用量反応的に検討する。

研究デザイン:前向きコホート研究を対象とした用量反応メタ解析。

データの入手元:PubMedとEmbaseにある2012年6月までの論文。

解析対象の選択基準:卵の摂取量とCHDおよび脳卒中の関連について、相対危険度(RR)と95%信頼区間(95%CI)を示した前向きコホート研究

結果:8つの研究に関する17件の報告(9件がCHD関連、8件が脳卒中関連)をメタ解析の対象とした。CHDについては308万1269人・年、5847件のイベントが、また脳卒中に関しては414万8095人・年、7579件のイベントが抽出された。

 卵の摂取とCHDおよび脳卒中の間に、有意な用量依存的関連は認められなかった(それぞれ、P=0.67、P=0.27 for non-linearity)。1日1個の卵を摂取した場合の相対CHDリスクは0.99(95%CI:0.85-1.15、図1)、脳卒中リスクは0.91(同:0.81-1.02)と、有意な上昇は見られなかった。また、どちらのリスクも、報告間の有意な異質性は認められなかった。

 しかし、糖尿病患者のサブグループ解析では、最も卵の摂取量が少ない(週1個未満)群に比べて最も多い(1日1個超)群では、CHDリスクの有意な上昇が見られた(RR:1.54、95%CI:1.14-2.09)。一方、脳出血は、最も摂取量の多い群でリスクが25%減少していた(95%CI:0.57-0.99)。

結論:1日1個程度の卵の摂取と、CHDまたは脳卒中のリスク上昇との間に関連は見られなかった。糖尿病患者のサブグループに見られたCHDリスクおよび脳出血リスクとの関連については、今後のさらなる検討が必要である。

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

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