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Heart誌から
non HDL-Cが下がらなければHDL-Cを上げても無意味?
フラミンガム研究を検証してみると否定的結果に

2012/05/01

 スタチンによる心血管疾患(CVD)イベントリスクの減少は25%程度にとどまることから、高比重リポ蛋白コレステロールHDL-C)を上昇させることで、さらなるイベントの抑制を期待する研究が古くからある。

 観察研究であるFramingham Offspring Studyから、低比重リポ蛋白コレステロールLDL-C)とは独立して、HDL-C高値とCVDイベント数の減少とが関連したという論文が発表されている[1]。その妥当性を検証するため英国ロンドン大学のグループは、前向きコホート研究であるEPIC-Norfolk研究とRotterdam研究のデータを用いて再解析を行った[2]。

 中間値で8.4年の追跡を行ったEPIC-Norfolk研究(446例)と、中間値で2.7年の追跡を行ったRotterdam研究(702例)において、治療前後での脂質プロファイルの変化とCVDイベント(心筋梗塞[MI]・冠動脈疾患・脳卒中による死亡および入院の複合)との関連を、Cox比例ハザード回帰分析で解析した。さらにランダムエフェクトメタ解析により、両研究のデータを統合した。

 年齢・性・研究開始時点のHDL-C値を調整した限りでは、HDL-Cの増加はCVDイベントリスクの減少と有意に関連した(HDL-C増加分[ΔHDL]の1標準偏差に対するハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[95%CI]:0.56-0.99)。

 ところが調整因子の中にnon HDL-C値、喫煙歴、糖尿病の有無、収縮期血圧、体重指数(BMI)、降圧薬治療の有無、MIの既往、狭心症の有無、脳卒中の既往を含めると、この関連は消失した(HR:0.92、95%CI:0.70-1.20、図1)。

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

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