日経メディカルのロゴ画像

J Am Coll Cardiol誌Commentから
ありふれた遺伝子多型がAFの薬剤反応性と関連
AFに関する個別化医療の先駆けとなるか

2012/02/13

 心房細動(AF)に対する治療戦略は、心室レートコントロールが主体となっている。しかし薬剤反応性が高い患者を特定する方法は、これまで実際に投与する以外にはなかった。これに対して米国・Vanderbilt大学のBabar Parvez氏らは、β1アドレナリン受容体遺伝子ADRB1)上でよく知られていた多型とAFレートコントロールの薬剤反応性との間に関連があることを見いだした[1]。

 遺伝子多型情報を用いて形質(疾患罹患性の高さや薬効あるいは副作用の有無など)に関係している遺伝子を探索する作業は形質マッピングと呼ばれ、個別化医療実現に向けて盛んに研究されている。

 形質マッピングは、連鎖解析と連鎖不平衡を利用した解析とに大別される。前者は家系データを対象とするのに対して、後者は主に集団データを対象とする。今回の研究はAF治療としてβ遮断薬やCa拮抗薬を内服している患者集団を対象とし、連鎖不平衡を利用した解析を行った。

 本研究の対象症例は、Vanderbilt大学の心房細動レジストリー(Vanderbilt AF Registry)に前向きに登録され、レートコントロールで管理された543例(男性63%、年齢61.8±14歳)。

 安静時の平均心拍数が80拍/分以下であり、かつ6分間歩行試験での最高心拍数が110拍/分以下であるか、24時間ホルター心電図記録での平均心拍数が100拍/分以下であるというAFFIRM試験の基準を満たす効果が得られた症例を、「薬剤に反応した」と見なした。

 追跡の結果、36カ月間で295例(54%)が、AFFIRM基準を満たした。ベースラインの臨床特性は、安静時の平均心拍数(反応群:76.4±20.2拍/分 vs. 非反応群:70.6±15.3拍/分、P<0.01)と喫煙(反応群:6% vs. 非反応群:1%、P<0.01)を除いて、2群間に有意差はなかった。

 複数の臨床変数(年齢、性別、高血圧)を検討しても、レートコントロール薬剤への反応性に対する予測因子とはならなかった。

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

この記事を読んでいる人におすすめ