日経メディカルのロゴ画像

JAMA誌Editorial、BMJ誌Change Pageから
「1次予防にアスピリンを使うな!」が最終結論か
今年中に発表されるわが国のJPPP試験に注目

2010/05/14

 足関節上腕血圧比(ABI)低値の一般住民に対するアスピリンの心血管イベント1次予防効果を検討したF. Gerald R. Fowkesらの論文[1]、および同じ号(JAMA誌3月3日発行号)に掲載されたEditorial [2]をまとめようとしている間に、4月24日付のBMJ誌に何と「1次予防にアスピリンを使うな!(Don’t use aspirin for primary prevention of cardiovascular disease)」との警告が掲載されてしまった[3]。日々の循環器診療に無視できない影響があると思うので、まとめて紹介したい。

 心血管疾患の既往がなくABIが低いスコットランドの健常な一般住民を対象に、アスピリンあるいはプラセボを投与する二重盲検無作為化比較試験を行ったところ、心血管イベントの1次予防効果は見られなかった――。これが、英国エディンバラ大学のFowkes氏らの論文の結論である[1]。この論文は日経メディカル オンライン 循環器プレミアムでも既に紹介済みなので(関連記事:「アスピリンでイベント1次予防、高リスク者でも証明できず」)、以下に概略を示す。

 Fowkes氏らは、血管疾患歴がなくABIが低値(0.95以下)だった3350例を、100mgアスピリン(1675例)または偽薬(1675例)に無作為に割り付け、平均8.2年追跡した。1次エンドポイントは、致死性・非致死性冠動脈イベント、脳卒中、血行再建術施行の初回発生の複合とした。2次エンドポイントは、1次エンドポイントに加えて、狭心症・間欠性跛行・一過性脳虚血発作を含む全血管イベントの初回発生および総死亡とし、intention-to-treat解析した。

 1次エンドポイントである複合イベント発生率は、アスピリン群の1000人・年当たり13.7(11.8-15.9)に対し偽薬群は13.3(11.4-15.4)で、統計的有意差はなかった(ハザード比[HR]:1.03、95%信頼区間[95%CI]:0.84-1.27)。2次エンドポイントである血管イベント発生率は、アスピリン群の1000人・年当たり22.8(20.2-25.6)に対し偽薬群は22.9(20.3-25.7)で、こちらも統計的有意差はなかった(HR:1.00、95%CI:0.85-1.17)。

 総死亡も、アスピリン群の1000人・年当たり12.8(11.0-14.8)に対し偽薬群は13.5(11.6-15.6)で、統計的有意差はなかった(HR:0.95、95%CI:0.77-1.16)。入院が必要となった初回大出血は、アスピリン群では1000人・年当たり2.5、偽薬群では1.5で、ハザード比は1.71(95%CI:0.99-2.97)と、有意差には達しなかったものの約7割増加する可能性が示された。

 

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

この記事を読んでいる人におすすめ