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N Engl J Med誌 EDITORIALから
縮んだ心臓―COPDと心不全をつなぐもの
The Shrinking Heart in Chronic Obstructive Pulmonary Disease

2010/02/25

 滴状心は、肺気腫で横隔膜が下降すると心臓は垂直位となるため、胸部X線正面像で心陰影が大血管から垂れ下がって見えるものだと説明されてきた。しかし今回、心臓が実際に小さくなっていることが報告された。

 本年1月20日付のN Engl J Med誌において、米コロンビア大学のR. Graham Barr氏らがMESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)肺研究の解析結果から、実際に心臓が縮んでいることを示した[1]。この報告について、同誌上でオランダVrije大学医療センターのAnton Vonk-Noordegraaf氏が論評している[2]。

 MESA肺研究は多人種を含む一般住民2816例を対象に、MRIで求める左室機能および構造と慢性閉塞性肺疾患COPD)の関連について調査したものだ。胸部CTから肺気腫百分率を-910ハウンズフィールド単位以下のボクセル比率で定義し、肺機能検査を米国胸部疾患学会のガイドラインに従って施行し、気流制限の程度を求めた。

 その結果、肺気腫百分率で10ポイントの増加ごとに左室拡張末期容積は4.1mL、1回拍出量は2.7mL、心拍出量は0.19L/分ずつ、いずれも直線的に減少した。

 これらの相関は現喫煙者の方が、既喫煙者および非喫煙者よりも強かった。気流制限の程度は同様に左室容積・心拍出量と相関し、喫煙状態はさらにそれらを修飾した。両肺指標とも左室駆出率とは関連しなかった。すなわち心拍出量の低下は、駆出率とは関係なく起こっていた[1]。

 COPDの肺気腫型では、左室容積と1回拍出量は正常以下であるとの測定結果が1980~90年代から報告されていた。さらに、そうした患者では心室中隔が拡張早期に左室側に凸となっていて、右室圧負荷を示していた。それゆえ、左室充満障害が左室容積と1回拍出量減少の理由であろうと推測されていた。

 

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

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