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J Am Coll Cardiol誌Editorialから
CRTを軽症心不全にも適応拡大すべき時、それは今なのか
Is it Time to Expand the Use of Cardiac Resynchronization Therapy to Patients With Mildly Symptomatic Heart Failure?

2009/11/02

 QRS幅延長の所見があるNYHA III~IV度の心不全患者において、転帰を改善することが証明されている心臓再同期治療(CRT)の有効性を、無症候性心不全軽度症候性心不全患者において評価したREVERSE(Resynchronization Reverses Remodeling in Systolic Left Ventricular Dysfunction)試験[1,2]の欧州版サブ解析の結果が、9月30日付のJ Am Coll Cardiol誌オンラインに報告された[3]。循環器プレミアムでも、新着論文で紹介している[4]。この結果についてカナダ・カルガリー大学のDerek V. Exner氏は、同誌上のEditorialで論評した[5]。

 もともとのREVERSE本試験は多施設無作為二重盲検対照試験で、無症状および軽症の心不全患者に対して、CRTと最適薬物療法の併用(CRT-ON)が、最適薬物療法のみ(CRT-OFF)より、病状の進行管理に優れているかを比較するために行われた。

 参入基準は、NYHA IIまたはI度(以前は症候性で現在無症候性)、QRS幅120ms以上、LVEF(左室駆出率)40%以下、LVEDD(左室拡張終期径)55mm以上で、至適薬物治療(安定用量のACE阻害薬・ARB、β遮断薬)を3カ月以上受けている者。

 1次エンドポイントは12カ月後の心不全症状の転帰(死亡、入院、悪化、不変、改善)で、CRT-ON群とCRT-OFF群間で、悪化した患者の割合を比較した。2次エンドポイントは、LVESVI(左室収縮期終期容積指数)だった。

 全例を対象にした12カ月間の解析では[1,2]、症状の悪化に関しては、2群間で差は見られなかった。だが、LVESVIはCRT-ON群で改善が大きかった(P<0.0001)。初回の心不全入院までの時間は、CRT-ON群で有意な延長が見られた(ハザード比0.47、P=0.03)。生活の質や6分間の歩行距離に、有意な改善は見られず、死亡率にも差はなかった。以上よりCRTは、軽症の心不全患者において左室リモデリングを回復させるだけでなく、心不全の病状進行にも影響を与えることが、初めて明らかにされた。

 今回の欧州版サブ解析は、本試験のなかで欧州の患者を対象に、参入基準やエンドポイントは同一のまま追跡期間を24カ月に延長したものだ。その結果は、CRT-OFF群に比べCRT-ON群で、症状悪化の患者割合が有意に少なく、LVESVIの減少も有意に大であり、初回入院もしくは死亡までの時間も有意に延長していた。だがQOLと死亡率では有意差がつかなかった。結論として、軽症の心不全患者においてもCRTは心不全の病状進行を改善することを、本試験よりさらに明瞭に示した[3,4]。

 

著者プロフィール

駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院)こまむらかずお氏。1956年生まれ。東京大学経済学部・大阪大学医学部卒。大阪警察病院、ハーバード大学留学などを経て95年から国立循環器病センター。98年、同センター研究所室長。2008年、兵庫医療大学教授。2009年、武田薬品中央総括産業医。2016年、神戸学院大学教授。2018年、国際医療福祉大学熱海病院 病院教授、兵庫医科大学非常勤講師および横浜市立大学客員教授。

連載の紹介

駒村和雄の「健康寿命で行こう」
2009年にNMO循環器プレミアムのコラムとしてスタートした「論説・総説を読む」が、バージョンアップしました。国立循環器病センターで重症心不全の臨床に長年携わり、ACCやAHAのフェローを務める駒村氏。同氏が現在かかわっている医療系教育研究や高齢者医療の現場から、今、わが国の第一線の医療現場で問題となっている話題を幅広く取り上げ、Evidence Basedで論じます。

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