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No.22
Driver ablationは持続性・慢性心房細動の革新的治療法になり得るか?

2014/08/26
山﨑正俊=名古屋大学 環境医学研究所 心・血管分野

山﨑正俊氏

 超高齢化社会を迎えたわが国において、年齢を重ねるにつれて発生率が上昇する心房細動患者に対する有効な治療法の確立が望まれている。Haïssaguerreらのグループから報告された肺静脈隔離術による発作性心房細動治療によって多くの患者がその恩恵を享受することとなったが、電気的・構造学的リモデリングの進行した持続性・慢性心房細動における有効な治療法は未だ確立されていない。

 近年、Narayanらが64電極のバスケットカテーテルを左心房内に挿入し、心内膜側からのマッピングのみで心房細動の持続に重要な役割を果たすRotor(渦巻き型旋回興奮波)とFocal activity(巣状興奮)を検出し、同部位に高周波通電を加えることによって心房細動を停止させるFIRM-guided ablation法を報告した。しかしながら、左心房内にバスケットカテーテルを留置する必要性があり、低解像度のマッピングシステムから得られた電位記録からRotorを検出するには困難を伴うことが予想される。

 今回、この分野のオピニオンリーダーであるHaïssaguerreらのグループが、非侵襲的な体表面多極マッピングシステムを用いて心房全体をマッピングし、心房細動を持続させるエンジンであるDriverを検出、同部位に対するカテーテルアブレーション治療が持続性・慢性心房細動への革新的治療法になり得る可能性を検証した論文を発表した。

【論文】
Haïssaguerre M, Hocini M, Denis A, Shah AJ, Komatsu Y, Yamashita S, Daly M, Amraoui S, Zellerhoff S, Picat MQ, Quotb A, Jesel L, Lim H, Ploux S, Bordachar P, Attuel G, Meillet V, Ritter P, Derval N, Sacher F, Bernus O, Cochet H, Jïas P and Dubois R.
Driver Domains in Persistent Atrial Fibrillation. Circulation.2014;130(7):530-538

【方法】
 103人の持続性・慢性心房細動患者において、CT画像から両心房構造を描出し、252点の体表面電極を用いた非侵襲的なマッピングシステムで心房細動を持続させるDriverであるRotor(渦巻き型旋回興奮波)とFocal activity(巣状興奮)の検出、さらに両心房内におけるDriverの累積存在部位の同定を試みた。

 Driver ablation群においては、高頻度興奮領域に存在するDriverに対して高周波通電を加え、心房細動の停止をエンドポイントとした。従来から施行されているStepwise-ablation法による結果を比較対象群とした。

【結果】
 さまよい運動を呈するRotorが、反復性に発生・消滅を繰り返すことによって持続性・慢性心房細動が維持されていることを確認した。Driverの80.5%はRotorであり(図1A)、19.5%がFocal activityの興奮様式を示し、時に両興奮波は混在した。ターゲットになり得るDriverは右心房と比較し、肺静脈を含む左心房に存在することが多く、心房細動罹患期間に応じてその数(平均2-6カ所)は増加した(図1B)。

著者プロフィール

●井川修(日本医大多摩永山病院内科・循環器内科臨床教授)●尾野恭一(秋田大生理学教授)●古川哲史(東京医科歯科大難治疾患研究所教授)●村川裕二(帝京大付属溝の口病院第4内科教授)●渡邉英一(藤田保健衛生大内科学講師)[五十音順]

連載の紹介

What’s New in Electrocardiology by JSE
不整脈学や心電図学の主要雑誌の中から、その道の第一人者が「なるほど」とうなった新着論文をピックアップ、新しい知見のポイントを分かりやすく解説します。

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