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No.14
心房細動合併心不全症例に対するアブレーションの有効性

2013/06/24
加藤律史=埼玉医大国際医療センター 心臓内科

 最近は心房細動の論文が選択されることが多く、またかと思われるかもしれないが、再度お付き合いいただければと思う。今回は心房細動カテーテルアブレーションの心不全症例への効果に関する論文である。

 現在、発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションは本邦のガイドライン上、薬剤抵抗性の場合class I適応となったものの、低左心機能例は発作性でもclassIIb適応に分類され、心不全例ではアブレーションが最初に治療選択肢とあがってくることは無いのが現状である。心不全症例に対するレートコントロールリズムコントロールに関して、薬物療法での効果を比較した有名なAF-CHF study1)では両群の差はなく、この問題に関しては方がついたかのように思われていた。

 一方でボルドーグループからの衝撃的な報告2)以来、過去に低左心機能症例に対するカテーテルアブレーション後、心機能改善が認められることが多くの論文において示されてきたことも事実であり、われわれも低左心機能症例でのアブレーション後は心機能改善効果が大きいことを報告した3)。おそらく、多くの循環器医は心房細動合併低左心機能症例に対し、レートコントロールとは別に、洞調律復帰治療後心機能(主に左室駆出率)が著明に改善したのを経験しているのではないだろうか。また近年薬物療法においても、リズムコントロールの有用性が示される論文が相次いで出版され、リズムコントロールの意義に関しては再度見直しが行われてきている。

 本論文は、通常の内科治療が施行されている持続性心房細動合併のNYHAII-IIIの心不全例に対するカテーテルアブレーションとrate controlの運動耐容能をエンドポイントとした初めてのランダム化比較試験である。

【論文】
A Randomized trial to assess catheter ablation versus rate control in the management of persistent atrial fibrillation in heart failure.
Journal of the American College of Cardiology 2013;61:1894-1903.

方法:無作為非盲検(エンドポイントは盲検)臨床試験において、核医学検査での左室駆出率35%以下を示す、平均持続期間約2年の慢性心房細動合併の有症候性心不全患者をカテーテルアブレーション群とレートコントロール群に割り付けして比較した。

 52人(平均年齢 63±9歳、EF 24±8%)がランダム化され、26人ずつアブレーション群とレートコントロール群に振り分けられた。主要評価項目は最大酸素消費量の12カ月時点での変化であり、副次評価項目としてQOL、BNP、6分間歩行、EFがあげられた。結果はintention to treatにより解析が行われた。

 患者の背景は表1の通りである。

著者プロフィール

●井川修(日本医大多摩永山病院内科・循環器内科臨床教授)●尾野恭一(秋田大生理学教授)●古川哲史(東京医科歯科大難治疾患研究所教授)●村川裕二(帝京大付属溝の口病院第4内科教授)●渡邉英一(藤田保健衛生大内科学講師)[五十音順]

連載の紹介

What’s New in Electrocardiology by JSE
不整脈学や心電図学の主要雑誌の中から、その道の第一人者が「なるほど」とうなった新着論文をピックアップ、新しい知見のポイントを分かりやすく解説します。

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