今回から、症例を示しながら治療のポイントを解説していきます。
大動脈―腸骨動脈領域の解剖
この領域において血管内治療 (PTA)を行う際は、解剖を十分に理解することが極めて重要です。
腹部大動脈は左右の総腸骨動脈に分岐して、後腹膜から前方に向かい外腸骨動脈と内腸骨動脈に分岐し、外腸骨動脈は総大腿動脈に続いています。従って、腸骨動脈領域のインターベンションを行う際には、平面ではなく3次元的なイメージを持って治療にあたる必要があります。
特に、完全閉塞病変を治療する際には、その閉塞長および位置を十分に把握することが重要です。ですから私たちは、術前に造影CTを施行して解剖の把握に努めています。図1に選択的な総腸骨動脈からの造影では実際の閉塞長が不明だった1例を示しました。
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著者プロフィール
井上直人(仙台厚生病院循環器内科主任部長)いのうえなおと氏。1982年京都府立医大卒。84年松下病院循環器内科、86年京都府立医科大学 第二内科修練医、88年京都第一赤十字病院循環器科。96年京都第二赤十字病院 循環器科、2002年同部長。2007年より現職。

連載の紹介
井上直人の「実践・下肢インターベンション」
5年ほど前から急速に日本で広まってきた下肢領域のインターベンション。筆者の井上直人氏はこの分野で先駆的な医師の1人だ。主任部長を務める仙台厚生病院循環器内科では、年間200例ほどを手がける。学会、講演会などで講演することも多い井上直人氏が豊富な症例を示しながら、教科書には載っていないポイントを分かりやすく解説。
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