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Circulation誌から
心血管健康スコアが良好なほどCVD発症は少ない
フラミンガム子孫研究(Framingham Offspring Study)の結果

2014/10/22
西村 多寿子=医療ライター

 米国心臓協会AHA)のCardiovascular Health score心血管健康スコア)と心血管疾患CVD)イベント発生の関連、およびバイオマーカーと無症候性CVDの影響を調べたところ、心血管健康スコアが良好であるほどCVD発症は少なく、バイオマーカーと無症候性CVDは心血管健康に関与していることが示された。この結果は10月1日、Circulation誌オンライン版に掲載された。

 AHA心血管健康スコアは7項目(喫煙状況、BMI、身体活動、食事、血清脂質、血圧、血糖)からなる。最低の0点から最高の7点まで、スコアが高いほど心血管の健康度が高いとされる。近年の研究では、心血管健康スコアがCVD発生率と逆相関することが示唆されている。しかし、その生物学的機序は明らかではない。

 本研究の対象は、フラミンガム子孫コホートの第6期(1995-1998)参加者のうち、CVDの現病歴のない男女とした。心血管健康スコア、バイオマーカー12種、無症候性CVDを測定し、次の3つの仮説を立てた。心血管健康スコアの高いほうが、(1)バイオマーカーの検査結果が良好、(2)無症候性CVDが少ない、(3)CVDイベント発生率が低い。

 バイオマーカーは12種類(アルドステロン、BNP、CRP、高感度トロポニンI、D-ダイマー、フィブリノーゲン、GDF-15、ホモシステイン、NT-ProANP、PAI-1、レニン、ST-2)を測定した。無症候性CVDについては、心電図による左室肥大、左室収縮機能障害、超音波検査による頸動脈異常、末梢動脈疾患、糸球体内皮障害(微小アルブミン尿)の5項目を測定した。

 主要アウトカムは、観察期間における心血管イベントの初発とした。心血管健康スコアとCVD発生の関連は、コックス比例ハザードモデルを用いて評価した。

 対象者2680例の平均年齢は58歳、女性比率は55%だった。平均血圧は、男性130/78mmHg、女性126/74mmHg。心血管健康スコアは、男性3.0±1.2、女性3.4±1.4で、約30%のスコアは0、1、2点、52%が3と4点、18%が5、6、7点に分布していた。

 年齢と性を補正したモデルでは、NT-ProANPとBNPは心血管健康スコアとの線形関係が認められた。一方、PAI-1、アルドステロン、CRP、D-ダイマー、フィブリノーゲン、ホモシステイン、GDF-15は、心血管健康スコアと逆相関関係が認められた(いずれもP<0.001)。これらの関連性は、BMIに関係なく頑健であった。

 心血管健康スコアと無症候性CVDについても、有意な関連が認められ(P<0.0001)、心血管健康スコアが高くなるほど、無症状CVDのオッズは低かった(心血管健康スコア1単位増加ごとのオッズ比:0.74、95%信頼区間[95%CI]:0.68-0.80)。

 最長16年に渡る観察期間に、CVDは267件発生した。生存時間分析では、心血管健康スコアを0~2、3~4、5~7の3群に分けたところ、スコアの高い群の方がCVDのイベント発生率が低く、予後良好だった。

 性と年齢を補正したモデルにおいて、心血管健康スコアとCVD発生は、逆相関の関係にあった(ハザード比[HR]:0.77、95%CI:0.70-0.86)。横断分析で有意だったバイオマーカー3種(GDF-15、BNP、PAI-1)と無症状CVDの有無で補正したHRは0.87(95%CI:0.78-0.97)だった。

 著者らは、関連の頑健性、用量反応性、時系列(心血管健康スコアがCVD発生に先行する)、複数の分析結果の一貫性といった観点から、本研究で観察された関連は因果関係を示す可能性が高いと考察している。

 ただし、心血管健康スコアとCVD発生の関連性は、無症候性CVDと一部のバイオマーカーが部分的に介在しただけで、著者らの仮説が証明されたのではないと述べ、今回の測定項目による説明だけでは不十分だと指摘している。

 著者らは、本結果は観察研究によるものだが、良好な生活習慣を広く一般に勧め、心血管の健康状態を改善することは、長い目で見てCVD発生の減少につながるという概念と一致するものだとし、さらなる研究で本結果を確認すると共に、心血管健康スコアと関連する他の心保護効果の機序を検討する必要があると述べている。

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