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Circulation誌から
AF患者の脳卒中と出血リスクに関する医師の主観的評価と実証的評価は一致せず
ORBIT-AFレジストリのデータ解析から

2014/06/09
山田 裕紀子=メディカルライター

 心房細動(AF)患者の脳卒中と出血リスクに関する医師の主観的な評価と実証的な評価(CHADS2スコアとATRIAスコア)の一致度は低く、客観的な実証的スコアよりも医師の主観的評価の方が治療の決定に強く影響していることが、米国のORBIT-AFレジストリのデータによる解析で明らかとなった。この結果はCirculation誌5月20日号に掲載された。

 AF患者における脳卒中と出血リスクを客観的に評価するために複数のツールが開発されており、そのリスク・スコアは多様な集団において妥当性が検証されている。しかし、臨床実践での実際の抗凝固療法の選択は、このような実証的スコアに基づいた推奨とは異なることが複数の研究で報告されている。これまでのところ、医師がどのようにリスクを評価しているか、またその医師の主観的な評価と実証的スコアがどの程度一致しているかに関しては十分に検討されていない。

 今回の研究では、AFの外来患者を登録した米国内最大の臨床レジストリであるORIBT-AF(Outcomes Registry for Better Informed Treatment of Atrial Fibrillation)のデータを用いて、医師によるリスク評価と実証的スコアとの一致度を検討し、両者の不一致に関連する因子を同定し、抗凝固療法の選択が医師の評価または実証的スコアのどちらによるものかを判定することを主な目的とした。

 適格患者は、18歳以上で、心電図で可逆性の原因によらないAFが認められ、最低でも2年間は6カ月ごとの追跡が可能な症例とした。2010年6月~2011年8月に同レジストリに登録された176施設、1万94例の患者のデータを解析対象とした。

 今回の解析では、実証的スコアとして、脳卒中リスクではCHADS2スコア、出血リスクではATRIAスコアを用いた。CHADS2スコアでは、0点を低リスク、1点を中リスク、2点以上を高リスクとした。ATRIAスコアでは0~3点を低リスク、4点を中リスク、5点以上を高リスクとした。実証的スコアとは別に、患者の担当医が患者の脳卒中と出血それぞれのリスクを主観的に評価した。評価の段階は、低リスク(3%未満)、中リスク(3~6%)、高リスク(6%超)だった。脳卒中と出血リスクごとに、医師の評価と実証的スコアのそれぞれで患者を3群(低リスク、中リスク、高リスク)に層別化して解析した。

 解析の結果、医師が脳卒中のリスクが高いと評価した患者は1625例(16%)だったが、CHADS2でリスクが高いと判定された患者は7251例(72%)だった。医師が出血リスクが高いと評価した患者は719例(7%)だったが、ATRIAスコアでリスクが高いと判定された患者は1749例(17%)だった。医師の評価と実証的スコアとの一致度は、重み付きκ係数によって評価した。脳卒中リスクでの重み付きκ係数は0.10(95%信頼区間[95%CI]:0.10-0.11)、出血リスクでの重み付きκ係数は0.11(95%CI:0.09-0.12)であり、両リスクとも一致度が低かった。

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